6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(4)
(3)舌、唾液腺
口の中で食べ物と唾液をかき混ぜる舌。
「おいしさ(味覚)」情報を
感じ取るところでもありますね。
味覚を担当する味蕾は、舌表面の粘膜にいます。
生まれ変わりが早く、
ミネラルの亜鉛(Zn)が必要になるため、
亜鉛不足では味覚異常の危険が!
インスタント食品の連続では、
美味しいものも美味しく感じられなくなりますよ。
唾液を作り、分泌する唾液腺は
舌の下(舌下腺)と、あごの下(顎下腺)、
耳の下(耳下腺)にありますね。
耳下腺は途中で顔面神経(第7脳神経)と合流しています。
ここに炎症が起こったものが
「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)」です。
唾液腺は個別の炎症の他に、
腫瘍ができることもあります。
良性であっても時間経過で悪性化することがありますので、
外科的に切り取ることが多いですね。
あとは全身疾患の一症状として
唾液分泌障害が起こることがあります。
口や眼の分泌腺障害が起こる
シェーグレン症候群を思い出してくださいね。
舌や口腔底(舌の下)周りに出来るのが舌がんや口腔底がん。
原因も発生機序も分かっていません。
痛みや出血が出ることが多く、
粘膜の下に広がっていくタイプでは
摂食障害や構音障害が出ることがあります。
舌下神経(第12脳神経)が麻痺して、
舌をうまく動かせなくなったせいですね。
放射線療法や外科的に切り取ることになります。
手術のときには気管切開をして、
しばらくは経鼻栄養となることがあります。
呼吸器系のところでおはなししますが、
気管切開をすると痰がたくさん出ますので吸痰が必要。
ネブライザー等で痰をやわらかくすることも重要ですね。
さらに、口腔ケアの重要性もお忘れなく。
怖い合併症は創部感染。
頚部の発赤、発熱、疼痛の有無は要チェックです。