数字なんか怖くない!:点滴計算のおはなし(1)
看護師国家試験の計算問題、
最終分野は点滴計算です。
点滴計算も、比例の式が分かれば難しくありませんよ。
点滴に使う器材(輸液セット)は、2つに分けることができます。
ちゃんと包装に書いてありますね。
「成人用」と「小児用」です。
この2つの違いは「1滴の大きさ」ですね。
「1滴で薬液が何㎖体の中に入るか」ということです。
成人用は20滴で1㎖になります。
小児用は60滴で1㎖になります。
では成人用の1滴は小児用の1滴の何倍の大きさですか?
「 : 」の比の形で表してみましょう。
…ええと、成人用1滴は20滴で1㎖になるから1/20㎖だよね。
それで、小児用1滴は60滴で1㎖になるから1/60㎖で…
成人用1滴は小児用1滴の「1/20㎖:1/60㎖」の関係…?
…なんだか分数だと見にくくなっちゃうなぁ…
「比は全体のうちのいくつか」でしたよね。
両方に0以外の同じ数をかけてみましょう。
ここでは60をかけるといい感じですね。
「1/20㎖×60:1/60㎖×60」だから、
「3㎖:1㎖」…あ!「3:1」の関係なんだね!
成人用1滴は、小児用1滴の3倍の大きさなんだ!
はい、オッケーです。
ちゃんとした比例の式の解き方をすれば、
成人用1滴:小児用1滴=1/20㎖:1/60㎖
成人用1滴×1/60㎖=小児用1滴×1/20㎖
成人用1滴×1/60㎖×60=小児用1滴×1/20㎖×60
成人用1滴㎖=小児用1滴×3㎖
㎖(ミリリットル)は単位なのでカッコに入れると、
成人用1滴(㎖)=3×小児用1滴(㎖)
これで、ちゃんと「小児用1滴の3倍」と分かりますね。
つまり、
体の小さな小児の体内に薬液を過不足なく入れるために
小児用輸液セットは1滴を1/60㎖と小さくする必要があります。
それに対して大人は1滴が1/20㎖でも
問題なく薬液を入れられる…ということですね。
そしてどちらの輸液セットを使っているか分かれば、
何滴体の中に入れば薬液が何㎖入ったのかも分かります。
小児用輸液セットで、120滴入ったら…
1/60㎖(これ、1適の大きさ)×120滴=2㎖ですね。
最初の「1/60㎖」のところを
「1/60(㎖/滴:つまり1滴は何㎖ですか?)」とすると
すぐに分かってくるはずです。
これなら
1/60(㎖/滴)×120(滴)=2(㎖)ですからね。
この計算、早めに慣れてしまいましょう。
これができると、点滴計算に困らなくなります。
「1滴何㎖か」「何滴体内に入ったのか」
ここをちゃんと意識して、次回の計算練習に入りますよ。