6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(8)

声帯麻痺(喉頭麻痺)には各種種類がありますが、

一番多く重要なのが「反回神経麻痺」です。

 

簡単に場所を復習しましょう。

迷走神経(第10脳神経)から出た

神経の枝の1つが、反回神経。

喉頭付近が守備範囲ですが、

まっすぐのどには向かいません。

左は大動脈弓、右は鎖骨下動脈付近まで下に向かい、

そこでくるりとUターン。

その後で喉頭まで戻ってくる

(反転して回ってくる)ので、「反回神経」です。

 

変に下の方まで足をのばすせいで、

胸部手術の副作用で

反回神経麻痺が出ることがあるのです。

片側の反回神経麻痺では、

嗄声や水分誤嚥が起こりえます。

両側が麻痺すると、

どこで声帯のカーテンが動かなくなったかによりますが、

高度の声かすれですむこともあれば、

呼吸困難を起こすこともあります。

片側の麻痺なら、胸部手術原因疾患の治療をしつつ

半年ほどリハビリテーションで様子を見ることもあります。

両側の麻痺では緊急事態もあり得ますので、

すぐにレーザー切除等の外科手術になることが多いですよ。

 

喉頭がんの多くは扁平上皮がん。

しかも声門がんで、

タバコの影響が多いところです。

多くは50~60代の男性で、

声のかすれから見つかることが多いですね。

声のかすれを放置すると、

場所によっては呼吸困難を起こして

気管切開が必要になることも。

主に放射線療法ですが、

外科的に切り取ることもあります。

「切り取る」にもいろいろありますが、

場合によっては気管に穴をあける

(気管孔呼吸)かもしれません。

これでは空気が気管孔から出ていくので、

空気が声帯を通らず、声が出せません。

 

声の復帰方法にもいろいろあります。

自分の体だけを用いて食道で発声させる「食道発声」は、

コツをつかむまでに少々時間がかかるかも。

すぐに使える便利な「電気咽頭」は、

音質に少々難がありますね。

気管と食道をつなぐ「気管食道シャント」は

一見いいところどりに見えますが、

誤嚥がかなり心配な構造です。

 

あと、気管孔呼吸では

「加湿」「嗅覚障害」「便秘」に気を付けて!

空気が鼻腔を通りませんので、

匂い(嗅覚)が分かりません。

そして空気は加湿・加温されずに

気管や肺に流れ込んでしまっていますね。

これでは困ってしまう理由は、呼吸器系のところで。

さらに「息を止める」ことができないため、

腹圧をかけることもできません。

腹圧がないと便を出しにくいことは

下部消化器系でもおはなししますが、

自分の体験からもイメージできますよね。

 

声に関係するおはなし、一段落。

食べ物ルートにおはなしを戻しましょう。