10 各論5:体温(感染・免疫):⑨自己免疫疾患(3)

メトトレキサートで白血球の働きを抑えても、

どうしても病気が進行してしまう…。

関節リウマチで最終兵器として使う薬の例がインフリキシマブです。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00063306

消化器系のクローン病や潰瘍性大腸炎のところで出てきたお薬ですね。

あとは乾癬(乾癬性紅皮症:赤く盛り上がった後、表皮がぱさぱさ剥がれ落ちる)にも

使うお薬です。

この薬は腫瘍壊死因子(TNF-α)と抗体(Ig-G)の一部をくっつけて、

マウスの細胞に入れて増やしてもらったものです。

だから禁忌に「マウス由来のタンパク質に過敏症」という一文が入っています。

 

他の禁忌は、症状が悪化してしまう重い感染症や活動性結核。

多発性硬化症のような脱髄性疾患も症状が悪化してしまいます。

あと、海外での比較実験で悪化したとの報告があった

うっ血性心不全も禁忌に入っていますね。

 

クローン病や潰瘍性大腸炎のときにもおはなししたことですが。

警告や使用注意を見れば分かるように、

安全性未確立がどうしても多いお薬です。

だから「他の薬で効果がなかったとき」と明記して、

「最後の手段として使ってね!」と注意を呼び掛けているのです。

 

免疫が異常になってしまうものが自己免疫性疾患。

細胞分裂が異常になってしまうものが、「がん(悪性腫瘍)」です。

 

正常な細胞分裂は、必要になったときに、

1回分裂(1つの細胞が2つの細胞になること)で終わります。

 

異常になると、必要がなくとも、際限なく増え続けます。

周りを圧迫し、栄養分や酸素を独り占めし…

さらにはもっと栄養や酸素を得るために血管を作り出すこともあります。

しかも何が悪いって、「もともとは自分の細胞だ」ということ。

自分の細胞でも「変!」と気付けばすぐに攻撃するナチュラルキラー細胞は別ですが、

それ以外の白血球はなかなか攻撃できません。

 

だから、がん細胞ができるだけ増えないようにして、

その間に白血球たちに頑張ってもらいましょう。

「できるだけ増えないように」のところには、薬が役に立ちそうですね。

 

細胞分裂のしくみを復習しましょうか。

細胞が分裂する前に、DNAが複製されて2セットになりますね。

2セットになったDNAを、

どちらの細胞にも1セットずつ入るように細胞の両端に分けて、

それから細胞が2つに分かれます。

薬はDNAの複製や、分裂そのものを邪魔することができますよ。