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2 細胞分裂:自分が自分でいるために(5)

前回で、体細胞分裂について一通り理解できました。

「DNAを2倍に『複製』してから、1セットずつに分けて、分裂」ですね。

ここで、DNA以外にも必要なものがあることに注意ですよ。

例えば、細胞膜のもとになる脂質やタンパク質

これらが不足していたのでは、細胞は内部環境維持ができません。

また、分裂期の文章を読み返してみると…

「染色体がぐぐっと引っ張られて」とあります。

「引っ張る」ということは、「動く」こと。

動くためには、ATPが必要です。

ここでは細胞の両端近くに出発点のある紡錘糸が、

染色体を引っ張るためにATPを使っています。

だから、軽く見直しただけでも

タンパク質・脂質・ATPを作るための糖質が細胞分裂に必要です。

さらには、DNAを作るためのビタミンやミネラルも必要ですよ。

 

体細胞分裂に必要なもの、再確認修了。

生殖細胞を作る減数分裂のおはなしに入りますよ。

 

生殖細胞は、その名の通り「生殖」に使う細胞のこと。

精子と卵子が生殖細胞の完成系です。

まずは、精子で減数分裂を理解しましょう。

精子のもとになるのは、精巣の中にいる精原細胞(精粗細胞)。

精原細胞の中のDNAが2倍(フルセットコピー)になったら、

いよいよ減数分裂のスタートです。

染色体のペアを向かい合わせてから、

細胞の両端へとぐぐっと引っ張っていきます。

こうして1つの細胞が2つの細胞になるのが、第一分裂

ここだけ見ると、体細胞分裂と変わりません。

 

でも、すぐに第二分裂が始まります。

2つに分かれた細胞がそのまま半分になり、全部で4つの細胞に分かれます。

染色体のX字型は左右(縦半分)に分かれて、

「くの字」と「逆くの字」に分かれます。

染色体には長い腕と短い腕(長腕と短腕)があります。

「長い腕と短い腕が1つずつ」できるように、

左右(縦半分)に分かれて、ヒトとして正しい情報が伝わるようにします。

短い腕2本や長い腕2本では、情報の重複や欠けが出てしまいますよ。

こうして1つの細胞が4つの細胞になり、

ヒトとして正しい情報を伝えられるようにDNAを半分にするのが、

減数分裂です。

1つの精原細胞から、最終的に4つの精子ができますよ。

精子を作る減数分裂はとても素直でした。

次回おはなしする卵子を作る減数分裂は、ちょっと複雑ですよ。