2 「健康」とは:(2)「よく生きる」ために[補足3]
ペットの例に限らず、ヒトにとっても「運動」は大事。
じゃあ、どうして運動は「(動物として)よく生きる」ために必要なのでしょうか。
厚生労働省が出している指針を見ながら、
運動が体に与える影響を確認してみましょう。
(厚生労働省:アクティブガイドの紹介ページ 厚生労働省 )
(アクティブガイド(PDF) アクティブガイド)
全ての年齢のすべての人に、
「現在の身体運動量を少しでも増やしましょう!」と
アクティブガイドは呼び掛けていますね。
具体的に増やす運動量の例は
「1日10分でも長く歩いてみよう」です。
これなら、できそうな気がしますね。
では「少し運動を増やす」と、
「生活習慣病と生体機能低下のリスクが下がる」といいますが…
これ、何が体の中で起こっているかイメージできますか?
運動の効果について、ごく簡単に説明していきますね。
すぐには分からなくとも、
生化学や生理学、解剖学を勉強すれば理解出来るところなのでご心配なく!
一番効果が目に見えて分かるのが生活習慣病(メタボリックシンドローム)対策。
メタボリックシンドロームは、
腹囲から疑われる内臓脂肪の過剰蓄積(内臓脂肪型肥満)、
それをきっかけに高血圧、糖尿病、脂質異常(高脂血症)になる状態です。
運動をすると、筋肉で必要になるATPが増えます。
血糖や筋肉に蓄えてあるグリコーゲンからのATP産生が尽きると、
次にATP産生元として使うのは脂肪(脂質)です。
皮下だけでなく内臓周辺に蓄えてあった脂肪も「ATPのもと」として使われ、
結果として脂肪が減ることになります。
そして腹囲も体重も減れば、立派な肥満解消です。
また筋肉(特に骨格筋)でのエネルギー必要量が頻繁に増えるため、
細胞のインシュリン抵抗性が改善されます。
「こんなことになるなら、普段からインシュリンの号令を聞いて
ちゃんとグルコースを細胞内に取り込んでおこう…」ですね。
インシュリンの号令に素直に耳を傾けるようになれば、
血糖はどんどん細胞の中へと取り込まれていきます。
血糖値の低下(糖尿病の改善)につながりますね。
さらに、骨格筋ではリポプロテインリパーゼ(LPL)の活性が上がります。
脂質異常の改善のおはなしですね。
少々長くなるところなので、次回はここからスタートしますよ。