2 「健康」とは:(1)「生きる」ために(9)[補足12]
受療後、一定数の人には入院治療が必要になります。
病院全体としての平均入院期間は30.6日。
ゆるゆると毎年減少していく傾向にあります。
とはいえ、ここは「病床」によって大きく違うところ。
少し確認しておきましょう。
まず、医療法上の「病院」と「診療所」の違いから。
「病院」というのは医師(歯科医師も含みます)が、
公衆または特定多数のための医業(歯科医業も含みます)を行う場所で、
20人以上の患者さんを入院させるための施設を有するもの。
入院可能な人数が、ポイントになりますよ。
「診療所」というのは、前半部分は「病院」と同じ。
後半部分が「患者さんを入院させる施設を有しないもの」、
または「19人以下の患者さんを入院させる施設を有するもの」です。
普段通っている「~クリニック」や「~病院」は、
診療所かもしれない…ということですね。
次に、「病床」の種類について。
病院では20人以上の患者さんを入院させることができますから、
診察や処置だけでなく給食施設や洗濯施設、
X線装置や臨床検査施設に加えて消火用の機械や器具も必要です。
そしてその病院の入院患者さんに応じた施設の有無を確認するとき、
「病床」による区分を使うのが一般的です。
分かりやすいのが結核の患者さんを入院させるための「結核病床」。
感染症法に定める特定の患者さん
(法1類、法2類、新型感染症)を入院させるための「感染症病床」も
イメージしやすいですね。
「結核病床」や「感染症病床」には、
消毒と遮断、換気のための特殊施設が必要です。
どうしてそれらの患者さんにそれらの施設が必要になるのかは、
微生物学や病態学の勉強をすると分かってくるはずですよ!
「療養病床」というのは、
主に長期にわたり療養を必要とする患者さんを入院させるための病床。
「高齢者」や「慢性期」をイメージできるとおもいます。
必要になる施設は食堂や浴室、談話室や機能訓練室です。
各種医療の提供は必要でも、
今ある機能を損なうことなく、むしろ増強していくための施設が機能訓練室。
ちゃんと各種作業士の人たちと協力していきたいところですね。
PTは「理学療法士」。
歩行や移動、階段の上り下り等、運動に関係する運動療法の担当です。
OTは「作業療法士」。
日常生活動作や家事、余暇に活かせる「作業」についての担当です。
STは「言語聴覚士」。
脳血管疾患による障害(失語や構音障害等)をフォローする担当です。
嚥下・摂食障害のフォローもしてくれますよ。
これは構音と嚥下にとって重要な場所が、
どちらも「咽頭・喉頭」だから…ですね。
「療法士」と付いていませんが、もう1つ追加。
ORTは「視能訓練士」。
眼科の検診、検査、ロービジョンケアの担当です。
外傷や疾患で視力が衰えてしまった人に、
拡大読書鏡や遮光眼鏡、単眼鏡等を調整するのがロービジョンケアです。
糖尿病(網膜症)のように、
目に影響が出やすい患者さんを支えてくれる医療仲間ですよ。