6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(14)

4、胃・十二指腸

食べ物が胃・十二指腸に到着しました。

胃はタンパク質消化酵素のペプシンが出るところ。

十二指腸は膵臓の糖・タンパク質・脂質消化酵素

(アミラーゼ・トリプシン。リパーゼ)が出るところ。

どちらも刺激から炎症や潰瘍を起こしやすいところです。

 

まずは胃の急性炎症から。

急性胃炎は食事でも、薬でも、ストレスでも、

細菌でも、寄生虫でも起こります。

食事の例はアルコールや香辛料等の刺激物。

薬は痛み止めのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)。

これは脂肪酸のアラキドン酸からできる

プロスタグランジンという炎症物質を

作らせないためのお薬です。

寄生虫はアニサキスが有名ですが、

梅毒トレポネーマのスピロヘータ等も含まれますよ。

ストレスは、

胃の血管が攣縮して胃の細胞が酸素不足になって起こります。

 

症状は腹部不快・膨満感ぐらいのものから、

心窩部痛、悪心から嘔吐、吐血、下血が起きるものまで。

「心窩部」の場所はへその上のややくぼんだ所。

いわゆる「みぞおち」ですね。

「この辺か…」と胃の場所を意識です。

原因を早く取り除き、安静にして。

必要に応じて胃酸分泌を薬で抑えるのが基本になります。

 

ここで、細菌の中でも「ピロリ菌」に注目。

ピロリ菌は、胃炎にも潰瘍にもポリープにも、

癌やリンパ腫にまで関係してきます。

だから「見つけたら除菌!」が基本です。

胃がんの多くは腺がん。

胃がんは肺がんに次いで

死亡者数2位の座を長く守ってきましたが、

大腸がんに抜かれて死亡者数は3位になりました。

罹患数でみると、大腸がんに次いで2位が胃がんです。

早期には症状が出ないため、

早期発見は内視鏡健診を受けたときですね。

胃がんは放置するとどんどん転移していくので、

基本は切除です。

 

転移方法は血液経由(血行性)、

リンパ経由(リンパ性)、腹腔内ばらまき(播種性)等々。

すぐ隣の臓器に転移する「直接侵襲」もありますよ。

転移先の一番人気は肝臓。

黄疸が出たら危険サインですが…その理由は後程。

肺や骨にも転移しますよ。

肺では低酸素血症、

骨では低カルシウム血症と下肢麻痺が出てきます。

転移し始めてしまうと大変なので、

「胃の組織のうち、

どこまでにがん細胞がありますか?」で

早期がんと進行がんを分けています。

胃は内側から粘膜・粘膜下層・

筋肉・漿膜下層・漿膜と分かれています。

粘膜と粘膜下層で止まっていてくれれば「早期がん」。

もっと下(胃の外側の方)まで

進んでいれば「進行がん」です。

特に周りに浸み込んでいく(浸潤)ので分かりにくいのが、

潰瘍を作る3型と、

凸凹なく一様に広がる(びまん性)4型(スキルス)です。

進行や転移が出ると、

癌マーカーと呼ばれるCEAやCA19-9が出てきます。

CEAは胎児のように急に増殖している細胞で出る糖タンパク。

CA19-9は粘膜等の上皮細胞が増殖すると出る糖の一種です。