3 憲法・法律:(3)民法レベル[補足7]
働く人(労働者)を守る法律として
労働基準法をはじめとする労働3法があって、
必要に応じてさらに個々の法律が規定されていました。
こうすることで働く人(労働者)を守っているのですが…。
不測の事態は、いつどこで起こるか分かりません。
そんな「もしも」に備えたものが労働災害補償法です。
対象になる労働災害は「業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」。
仕事中に起こったケガや病気、
それらによって残った障害や死の結果が補償対象です。
もちろん診断等を受けるための療養補償給付、
仕事につけない(休業)時の休業補償等の定めもありますよ。
条件があることに注意しておきましょう。
働く人がわざと(故意に)事故を起こしたら、補償外ですよ。
また療養の指示にわざと(故意に)、
または普通の人ならあり得ないうっかりによって(重過失)、
もしくは納得できるような理由なく(正当の理由なくして)従わないときは、
補償給付が一部または全部もらえなくなります。
「治療を受けたら、指示にはちゃんと従ってよ!」ということですね。
「…そんなこと言ったって…働かないとご飯代がない…」
これでは、安心して治療に集中できませんね。
だから労働災害によって休んでいる(休業している)人には、
働いていなくともお金が支払われます。
休業1~3日までは、雇う人(使用者)が「給料額の平均」の6割を支払い。
休業4日以降は、休業補償給付が支払われることになります。
この「~補償給付」の財源は、労働災害補償法が定める「労災保険」。
「保険」ですから、公的医療保険同様、
普段から支払っておいて、いざというときに払ってもらう形になります。
支払い責任者は雇っている人(使用者)、
保険者は政府(厚生労働大臣)になります。
大臣1人で国の労災保険全てを担当してはいられないので、
費用徴収は都道府県労働局、給付は労働基準監督署が担当していますよ。
もう1つ注意しておきましょう。
刑事施設に拘禁されていたり、
少年院に収容されていたりしたら、休業補償は給付されません。
「他人に害を与えたのなら、
仕事につけない(=給料が手に入らない)ことを
面倒見る必要はないよね!」ということですね。
そしてこれらの補償は、働く人の通勤中にも及びます。
「仕事中じゃないから、補償しないよ」は通用しないのです。
ここで雇う人(使用者)の立場になって考えてみましょう。
「…ケガや病気させたら、働いていないのにお金を支払う?!
しかも仕事場にいないときまで対象に?
ケガや病気させたら大損じゃないか!
ちゃんと健康に気をつけていてもらわなきゃ!」
だから、労働災害補償法には「二次健康診断等給付」の定めもあるのです。
脳血管・心臓等の二次検診と、医師・保健師等による特定保健指導が
「二次健康診断等給付」の中身です。
「二次」がある以上、「一次」がないと変ですね。
一次健康診断は、
労働安全衛生法に定める(直近に行われた)健康診断のことです。
ちょうど良いタイミングです。
次回は労働安全衛生法のおはなしに入ることにしましょう。