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3 憲法・法律:(3)民法レベル[補足7]

2019年11月20日

働く人(労働者)を守る法律として

労働基準法をはじめとする労働3法があって、

必要に応じてさらに個々の法律が規定されていました。

こうすることで働く人(労働者)を守っているのですが…。

不測の事態は、いつどこで起こるか分かりません。

そんな「もしも」に備えたものが労働災害補償法です。

 

対象になる労働災害は「業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」。

仕事中に起こったケガや病気、

それらによって残った障害や死の結果が補償対象です。

もちろん診断等を受けるための療養補償給付、

仕事につけない(休業)時の休業補償等の定めもありますよ。

 

条件があることに注意しておきましょう。

働く人がわざと(故意に)事故を起こしたら、補償外ですよ。

また療養の指示にわざと(故意に)、

または普通の人ならあり得ないうっかりによって(重過失)、

もしくは納得できるような理由なく(正当の理由なくして)従わないときは、

補償給付が一部または全部もらえなくなります。

「治療を受けたら、指示にはちゃんと従ってよ!」ということですね。

 

「…そんなこと言ったって…働かないとご飯代がない…」

これでは、安心して治療に集中できませんね。

だから労働災害によって休んでいる(休業している)人には、

働いていなくともお金が支払われます。

休業1~3日までは、雇う人(使用者)が「給料額の平均」の6割を支払い。

休業4日以降は、休業補償給付が支払われることになります。

 

この「~補償給付」の財源は、労働災害補償法が定める「労災保険」。

「保険」ですから、公的医療保険同様、

普段から支払っておいて、いざというときに払ってもらう形になります。

支払い責任者は雇っている人(使用者)、

保険者は政府(厚生労働大臣)になります。

大臣1人で国の労災保険全てを担当してはいられないので、

費用徴収は都道府県労働局、給付は労働基準監督署が担当していますよ。

 

もう1つ注意しておきましょう。

刑事施設に拘禁されていたり、

少年院に収容されていたりしたら、休業補償は給付されません。

「他人に害を与えたのなら、

仕事につけない(=給料が手に入らない)ことを

面倒見る必要はないよね!」ということですね。

 

そしてこれらの補償は、働く人の通勤中にも及びます。

「仕事中じゃないから、補償しないよ」は通用しないのです。

 

ここで雇う人(使用者)の立場になって考えてみましょう。

「…ケガや病気させたら、働いていないのにお金を支払う?!

しかも仕事場にいないときまで対象に?

ケガや病気させたら大損じゃないか!

ちゃんと健康に気をつけていてもらわなきゃ!」

 

だから、労働災害補償法には「二次健康診断等給付」の定めもあるのです。

脳血管・心臓等の二次検診と、医師・保健師等による特定保健指導が

「二次健康診断等給付」の中身です。

「二次」がある以上、「一次」がないと変ですね。

一次健康診断は、

労働安全衛生法に定める(直近に行われた)健康診断のことです。

 

ちょうど良いタイミングです。

次回は労働安全衛生法のおはなしに入ることにしましょう。