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3 憲法・法律:(3)民法レベル(2)医療倫理

医療倫理の中身の確認ですね。

倫理で確認する内容は「善行」、「無危害」、「誠実忠誠」、

「公正正義」、「自律尊重」などです。

 

患者さん(他人)の情報だけでなく、心身そのものの管理も含めて、

医療従事者が危害を加えないことは大前提ですね(無危害)。

 

そして患者さんに対しそのとき出来る限りの最大限の注意を払うことは、

患者さんに対する善い行い(よいおこない)です(善行)。

 

患者さんであれば誰に対しても同じ程度の注意を払うことになるので公正ですし、

それはヒトであれば平等であるという正義にもかないます(公正正義)。

 

さらに最上級の注意を払った医療業務を行うことは、

「その人」に対してだけでなく、「職務」にも誠実だと言えます(誠実忠誠)。

 

もちろん患者さんには自己決定権がありますから、

患者さんの希望や決定はできる限り尊重されるべきものですよ(自律尊重)。

 

…倫理の中身、はっきりしてきましたね。

「みんなとうまく生活するためのルール」を学んでいくのが道徳なら、

「患者さんやその家族を守り、力づけるための要素」を確認するのが医療倫理です。

 

『守り、力づける』ことは

「権利擁護とエンパワーメント(エンパワメント)」とも呼ばれますね。

憲法レベルと民法レベルで確認してきましたから、

もうみなさんは倫理の用語で迷うことはないはずですよ。

 

「憲法レベルを具体化していくのが民法レベル」ということ、

だんだんわかってきたと思います。

ここで一度確認。

医療契約は委任(準委任)のスタイルの1つですが、

扱う内容はかなり異なります。

 

分かりやすく「情報」だけに限定しても、

氏名・年齢・住所のように本人が先に知っている(管理している)ものだけでなく、

心身の現状や病名といった本人がまだ知らないことさえも、

医療従事者は知ることとなります。

しかも本人にとっては「(より)他人に知られたくないもの」ですから…。

もっとしっかりと、文章で定めておく必要がありそうですね。

 

そこで民法レベルでも、

特定医療職に就く人に対する法律を作ることにしました。

それが保健師助産師看護師法…

いわゆる「保助看法」(以下、単に「保助看法」)です。

 

次回、その中身を簡単に確認しましょう。