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10 各論5:体温(感染・免疫):⑧過敏症(2)

2023年6月3日

花粉症に代表されるⅠ型過敏症。

症状の出る鼻と目に使う薬を確認していきましょう。

 

点鼻薬は抗炎症薬のステロイド剤や抗アレルギー薬だけでなく、

鼻水を止める(減らす)ことに特化した薬も使われます。

ステロイド剤については内分泌系のところでおはなし済みです。

抗アレルギー薬というのは、

アレルギー(過敏症)に使う薬をまとめて広く呼ぶときの呼び名。

その中に抗ヒスタミン薬も含まれます。

ヒスタミンをねらって邪魔する

ケトチフェンフマル酸(ザジテン)は、

抗ヒスタミン薬で、抗アレルギー薬の一種。

抗体をブロックする

スプラタストトシル酸塩(アイピーディ)は、

抗アレルギー薬ですが、抗ヒスタミン薬ではありません。

一般に抗ヒスタミン薬は即効性、

それ以外の抗アレルギー薬は長期的使用目的になります。

 

鼻水は血行が盛んになると産生量が増えます。

「だから鼻周りの血管を収縮させてしまえ!」というのが、

ナファゾリン塩酸塩(プリビナ)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052686

血管にあるアドレナリンα受容体を刺激するお薬です。

禁忌は薬にアレルギーがある人と、2歳未満の乳幼児。

2歳未満の乳幼児では、

効果が強く出すぎてショックを起こしてしまう可能性があります。

小児では禁忌にあたらずとも

過量症状(血圧上昇と臓器虚血)が出る可能性がありますので、

よく気を付けてくださいね。

また、モノアミン(MAO)阻害薬と併用すると、

血圧急上昇の危険があるため禁忌になっています。

 

モノアミンは、

生理活性アミンの中の「アミノ基が1つ付いている」グループのこと。

神経伝達物質が多く含まれます。

これら神経伝達物質は1度使われると酵素によって分解されます。

この分解酵素を邪魔するのがモノアミン阻害薬です。

アドレナリンもモノアミン。

1度出たアドレナリンが何回も使われることになって、

しかも受容体が刺激を受けている状態ですから…

アドレナリンの血圧上昇が

強く出すぎてしまうことになるのですね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)