4 行政・制度:(1)健康保険制度(2)
日本では当然の健康保険制度。
他の国では「医療機関にかかるお金がない!」ことが大問題になります。
例えば、アメリカ。
オバマ大統領は「オバマケア」を導入で大反対を受けました。
オバマケアは日本のような公的医療保険ではありません。
あくまで民間保険会社の医療保険の活用です。
しかし「保険料を払っても加入したい人だけが参加する(任意加入)」ではなく、
「必ず入ること!(強制加入)」。
違反すると、年収の一定割合の罰金です。
民間保険会社にとって本来なら加入させたくない人
(保険料を払ってもらえるかどうかわからない人や、
特定の病気にかかったことがあり医療費がかさむことが分かりきっている人)
までも、保険の枠の中に入り込んでくることになります。
これでは保険会社が医療機関に支払わなばならない額が増えてしまい、
保険会社は面白くありません。
そして保険会社の支払額増加を受けて、
毎月(や毎年)払い込む保険料は値上がりしました。
…従来から保険に加入していた(ある程度の収入のある)人にとっては、
全く面白くありません。
だからオバマ大統領退任後、
不満の多いこの制度は撤廃・改正される可能性がありますね。
看護含め、医療にはお金がかかるのがアメリカの常識。
「貧乏人は虫歯ができても歯医者にかかれず、
痛くても放置して敗血症を起こして死亡…」という
日本では考えにくい状態が日常のようです。
話によると、歯の治療(虫歯を削って、金属の冠をかぶせる)1つに
800ドルかかるらしく。
仮に1ドル100円とすると、1本の虫歯で8万円。
…これでは、歯医者にかからない人が出てくるのも納得できてしまいそうです。
なお、注意。
アメリカ旅行中に医療機関にかかると、
後日のクレジットカード請求額が大変なことになります。
手術になんてなろうものなら、傷病保険特約を付けていても危険エリアです。
海外旅行に行くときには、まずは予防接種はじめ体調管理を完璧に。
その上で、クレジットカード等の傷病保険特約を忘れないでくださいね!
もっとも、国民皆保険の日本ですら
「(外国人登録をしていないから)保険に入ってない…」、
「保険には入っているけど、3割負担を払うお金がない…」
といった問題も出てきています。
この辺りは、今後の医療行政問題ですね。
一応、憲法の定める「最低限度の生活」ができない人に対しては、
医療は「現物給付」されることになっています。
お金を渡して「受診してね!」ではなく、
「病院にかかってね!お金は払わなくていいから!」が現物給付。
生活保護法上は「医療扶助(生活保護法15条、34条)」といっています。
この医療現物給付ができる医療機関は決まっています
(どこに受診しても受けられる給付ではない)ので、
市町村や特別区等のホームページで確認してから受診してくださいね。
さて、ここまで読んできて。
「あれ?悪いところが出てからじゃないと、役に立たないの?」
と気付いた人はいるはずです。
制度を作った当初は、それで十分だと思っていたのです。
でも…十分ではありませんよね。
次回、一緒に「不十分な理由」を確認していきましょう。