6 身体防御・免疫:侵入者なんて許さない(1)
ヒトの体を守る「免疫」についてのおはなしです。
ヒト以外のもの…細菌やウイルス等は、
ともすればヒトに悪い影響を及ぼします。
もちろん、全ての細菌やウイルス等が
ヒトに悪さをするわけではありません。
腸の中にいて、ヒトにとって必要なビタミンを作ってくれる
いわゆる「善玉菌」もいますからね。
でも、少なくとも一部の細菌やウイルス等は
ヒトの体の中に入るとヒトが病気になってしまいます。
それは困るので。
自分以外のもの(異物)が入ってこないように、
仮に入ってきてもできるだけ早く追い出すようにするのが、
免疫に代表される身体防御システムです。
身体防御のスタートは、
皮膚や粘膜による物理的防御です。
特に皮膚では、
表皮細胞が古くなり核もなくなった細胞(角質)が強固な壁。
細菌やウイルス等はそうそう入り込むことができません。
しかも皮膚表面では「壁」で侵入を防いだところで増えないように、
pHが4.5~5.5の弱酸性になっています。
血液のpH7.35~7.45とはかなり違いますね。
これは皮膚の表面にでた油(皮脂)が酸化したため。
弱酸性環境下では、細菌等はうまく増殖できません。
だから「汚れや微生物が気になる!」と
セッケンで洗ってばかりいると、
皮膚の弱酸性バリアをうまく保てなくなってしまいます。
どうしても気になるなら、
水かぬるま湯だけでやさしく洗うことです。
角質も、皮脂も、必要があるからそこにいるのです。
目の敵にして、
やっきになって取り除かないでくださいね。
では粘膜は役立たずか…というと、そんなことはありません。
粘液と繊毛が粘膜の防除手段です。
粘液というのは、粘り気のある液体のこと。
あまり粘り気を感じませんが、だ液も立派な粘液。
粘り気によって異物をからめとり、
そのまま体の外へと押し出してしまいます。
涙や鼻水がいい例ですね。
だ液はくしゃみ、咳、痰で体の外へと押し出しです。
繊毛は粘膜表面に生えているごく細い毛のこと。
この毛は生えている方向と動く向きのおかげで、
体の中に入ってきた異物を口の方へと押し戻します。
繊毛なしでは、
空気ルートに入り込んできた異物を押し返すことはできません。
空気ルートの最後は、肺胞という袋。
出口がないため、
異物が入ってきてしまうと感染危険が高まってしまいます。
肺(肺胞)の中に食べ物が入ってしまうと、
栄養がなかったために増えられなかった異物が一斉増殖!
これが「誤嚥」による肺炎です。
「誤嚥性肺炎が怖い」という理由、分かりましたね。
そんなことにならないように、
異物を押し出すのがくしゃみ・咳・痰です。
くしゃみは鼻・口から咽頭上部の異物。
咳は咽頭から喉頭付近の異物を、
空気の勢いで追い出そうとする働きです。
口をあけて見えるあたりまでがくしゃみ、
見えない奥が咳の担当ですね。
痰はもっと下…
空気ルートの気管や気管支からの追い出し担当です。