6 筋骨格系のおはなし(9)
筋肉と骨についておはなししてきましたが…
このままではどこにも「曲がる」ところがありません。
筋肉だけで出来ている器官は別として、
どこも曲がらないのではろくに動くことができません。
だから、「関節」についておはなししましょう。
関節には骨と筋肉以外に、軟骨、腱、関節包、靱帯が必要です。
軟骨は、骨同士が直接ぶつかって削れてしまわないようにするクッション材。
内臓のクッション材(各種膜)とは違い、
自分自身も削れてしまわないようそれなりの硬さがあります。
骨より水分量を多くすることで、
傷のつきにくい適度な弾力を手に入れたのが軟骨ですね。
靱帯は、骨と骨をつなぐもの。
関節包は靱帯だけに負担がかからぬよう、関節周りをぐるりと取り囲むもの。
靱帯と腱はどちらも「骨に付く」点で共通していますが、
「筋肉が骨に付くところ」が腱ですよ。
ここまで分かると、スポーツ選手の故障が急に身近なものになります。
「靱帯損傷」は、関節の内側の骨と骨をつなぐ部分が傷んでしまったこと。
「軟骨剥離」は、骨のクッション材がちぎれてしまったこと。
「腱断裂」は、骨と筋肉のつなぎ目が(一部であっても)切れてしまったこと。
関節包は…あまり出てきませんが、これは漢字から場所をすぐイメージできますね。
関節の構成部品がいろいろ出てきましたが、
それぞれの必要性を考えれば難しくはないはずです。
「関節がないと骨・筋肉・神経・ATPがあっても曲がらない!
関節には軟骨・靱帯・腱・関節包が必要!」
そのうえで場所関係もイメージできれば、上々です!
関節の必要性が分かってくれたところで、
関節の動き方(可動域・可動方向)を見ていきましょう。
自分の関節を動かしながら、確認してくださいね。
一番シンプルなのが、蝶番関節。
蝶番(ちょうつがい)は、1つの向きに「開く↔閉まる」のみです。
曲げて、伸ばせる…指の関節がこれですね。
お次が鞍関節(あんかんせつ)。
鞍とは、馬の背中にのせるもののこと。
カーブがあるので、前後と左右に動かせます。
この鞍のように2方向に動かせるのが、親指と手のひらの間の関節。
小指側にも曲がるし、人差し指側にも曲がる…これが鞍関節です。
曲がる方向が2つなのは、楕円関節も同じ。
球ならどの方向にも曲がりますが…
あまりにも平べったいので2方向にしか曲がらないのが楕円関節です。
これは手首ですね。
手首は主に前後に動かしますが、少しなら左右にも動きますよ。
2方向と言っていいのか悩むのが車軸関節。
棒の周りを、輪っかがくるくる回る感じです。
これは肘の関節。
ちょっと実感しにくいかもしれませんが、
肘を曲げず手先の向きを変えるようねじってみると、
他の関節とは違った「車軸感」があるはずです。
一番自由度が高いのは球関節。
ボールが凹みにはまっているだけですから、どの方向にでも動けます。
動きすぎて…外れることが心配になります。
球関節は肩関節と股関節。
関節から外れてしまう「脱臼」が起こりやすいところですね。
次回は、大事な骨(よく出てくる骨)を確認していきましょう。