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2 性感染症(STD)のおはなし(4)

Hは単純ヘルペスウイルス。

口周りに感染する口唇型と、

性器周辺に感染する性器型があります。

以前は、すごく簡単に分類できたのですが。

オーラルセックスが広まり、

どちらの型かがすごくわかりにくくなってしまいました。

 

成人が性器型にかかると、

感染後2~10日で水膨れ(水疱)から潰瘍化します。

痛いので、排尿障害を起こすこともありますよ。

初回感染の約7割は症状が出ずに終わりますが…

それでも「単純ヘルペスウイルスに感染した」ことに

かわりはありません。

口唇型も口周りに痛い水ぶくれができます。

こちらも潜伏期は7日くらい。

数日でかさぶた化して治りますが…

体調が悪化するたびに出てくることになります。

 

胎児に感染するとどうなるか。

胎盤経由の感染もありますが、結構まれ。

運悪く感染してしまうと、中枢神経が障害されます。

小頭症の一因ですね。

一番感染機会が多いのは出産時。

産道(膣)にウイルスがいると、

約6割の赤ちゃんが単純ヘルペスウイルスに感染してしまいます。

感染すると、きれいな肌がひどい水膨れを起こします(皮膚型)。

でも、これはまだ軽い方。

全身型では生後1週間ほどで多臓器不全(MOF)を起こして死の危険。

中枢型では脳炎を起こして、

痙攣のせいで後遺症が残ってしまうこともあります。

 

こんなかわいそうなことにならないように、

感染が分かったら帝王切開になるはず。

 

とはいえ可能な限り予防するにこしたことはありません。

性行為時にはコンドームを付けること。

ヘルペスウイルスに感染していると疑われる人

(口周りや性器周りに水膨れや潰瘍)とは、性交渉を持たない。

…でも、無症状の人だったら見かけでは分かりませんね。

だから「性行為時にはコンドーム」が

(少なくとも産道にウイルスを持ち込まないための)

一般的予防になります。

でも、口周りにヘルペスウイルスがいて、

オーラルセックスをしていたら防げませんね。

だから「不特定多数のものと性関係を持たない」ことが必要。

残念ながら、ワクチンはありません。

 

あとは自分で感染を広げないこと。

ウイルスがたくさんいる水疱を破るなんてもってのほかです。

特に角膜(目)が感染すると、成人でも失明の危険性すらあります。

だから水疱部は触らない。

薬を付けたあとはちゃんと手を洗う。

油断すると何気なくとってしまいがちな行動なので、

注意していきましょうね。

 

次回はO(その他)組に入りますよ。