2 呼吸器系のおはなし(4)
「交換所」である肺胞のおはなしに入ります。
肺胞はゴム風船のような袋状。
それがブドウの房のように集まっています。
肺胞がたくさん集まったものが、「肺」ですね。
まず、肺の外側(見た目)について。
肺は左右に分かれています。
どちらも上が少し尖った円筒のような形です。
上が尖り(肺尖)で、下が底(肺底)ですね。
これ、心臓では尖りと底が上下逆になりますよ。
循環器系のところで、また確認しましょうね。
左右に分かれた肺は、
右が3つ、左は2つに分かれています。
右は上から上葉・中葉・下葉。
左は上から上葉・下葉です。
なぜ左は1つ少ないのかというと、胸の左には心臓がありますね。
心臓のスペースを空けてあげるために、左肺は少し小さいのです。
あと、上中下葉の区切りが、
単なる「上から水平にスライス」ではないことも確認です。
これはかなり後で出てくる
「デルマトーム・ミオトーム」を勉強すると理由が分かります。
今は「水平な区切りじゃないんだ!」だけでオーケーですからね。
それでは、肺胞に注目していきますよ。
肺胞は「ゴム風船」とイメージすると分かりやすいと思います。
空気が外から入ると膨らみます。
空気が外に出ていくとしぼみます。
でも、風船の中の空気が完全に出て行ってしまうと、
次に膨らませるのが大変になってしまいます。
皆さんも風船を膨らませるとき、
最初は膨らまなくて苦しい思いをしたことがあるはずです。
少しでも膨らんでくれれば、あとは楽に膨らみます。
肺胞も中の空気が完全に出ていかないようにしています。
後で出てくる「残気量」というのは、
「肺胞がぺったんこにならないように残しておく空気」のことです。
…そんなこと言ったって、最初の空気はどうするの?
そこで役立つのが「サーファクタント」。
赤ちゃんがお腹の中にいるときに、
肺胞の中に作られるのがサーファクタント。
これがあれば肺胞の内側どうしが
ぴったりくっついた状態にならず、
最初の膨らませが楽になります。
これができる前に何らかの理由で外に出てきてしまうと、
最初の産声を上げるための一息すら
大変なことになってしまいますよ。
肺胞をゴム風船とイメージしてもらっていますが、
肺胞はごく薄い細胞からできています。
ごく薄いので、酸素や二酸化炭素は自由に通り抜けできます。
細胞である以上、
酸素や栄養物を運んでくれる血液が必要です。
だから肺胞の周りを、
ごく細い血管(毛細血管)が取り囲んでいます。
もちろん毛細血管壁も薄い細胞ですから、
血液中の酸素や二酸化炭素の移動を邪魔しません。
だから、肺胞でガス交換(酸素・二酸化炭素の交換)が
できるのですね。
…でも、きっかけがないと酸素も二酸化炭素も動きません。
次回は「交換のきっかけ」について説明しますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220822更新)