11 精神のおはなし(1)せん妄、認知症、うつ病(9)

先程「ステロイドやインターフェロンでも

(外因性)うつ病になる」とおはなししました。

薬物で起こる精神症状を少し補足しましょう。

 

ステロイド(含む、人体内のステロイドホルモン)は

気分障害、精神病症状(幻覚・妄想等)、睡眠障害、

せん妄を引き起こすことがあります。

血中ステロイド濃度が低いと抑うつ状態、

高いとこの後おはなしするそう状態が出てきます。

妊娠に伴う、

いわゆる「マタニティハイ」と

「マタニティブルー」は、

女性ホルモンがステロイドホルモンであることを

思い出せば理解できそうですね。

何らかの治療にステロイドを使用している場合、

うつ病と診断されたら治療最低値まで減量するか、

うつ病寛解まで中止となります。

不眠・不安が見られた時点で気付いて、

気分安定剤等で対処できれば治療を続行できますので、

ちゃんとサインに気付いてくださいね。

 

インターフェロンは使用1週間~1か月で

精神症状が出てきます。

抑うつ状態、せん妄だけでなく、

そう状態が出ることもあります。

感染性疾患の治療成果が出始めたころに

精神変化が出てくるので、要注意。

希死念慮が出てきたら、

インターフェロンが一時中止になることもありますよ。

 

薬だけでなく、

一般的な化学物質中毒でも精神症状が出てきます。

中枢神経を直接おかしくする薬物はたくさんあります。

各種神経症状が出てくる硫化水素や農薬、

重金属やシアン化合物が代表例。

精神面にも影響が出るものとして、

一酸化炭素中毒をおはなししましょう。

 

一酸化炭素中毒は、大脳組織に無酸素症を起こし、

脳障害を引き起こすものです。

それは一酸化炭素が酸素よりもはるかに強く

赤血球のヘモグロビンと結びつくから。

捕まったヘモグロビンは、もう酸素を運べません。

初期症状は頭痛やめまい、息切れ。

易疲労感やイライラを感じることもあります。

これだけでは一酸化炭素中毒と気付けないかもしれませんが…

嘔気・嘔吐(精神面では興奮や脱力感)が出たら

もうかなり危険です。

無色無臭な存在なので、

逃げたいときにはもう体が酸素不足で動かない可能性があります。

ここまでが、急性の一酸化炭素中毒です。

 

運よく助かっても、まだ安心はできません。

急性中毒から回復後数日から数週間を経て、

急に症状が出て日ごとに悪化していく

遅発性一酸化炭素中毒もあります。

出る症状は意欲低下、見当識障害、記憶障害、

異常行動、パーキソニズム、不随意運動や意識障害など。

急性中毒時の脳浮腫から広範なびまん性脱髄を起こしたことが

原因とされています。

軽症なら、赤血球内のヘモグロビンと一酸化炭素が

結びついたものを全体の5%以下にするために、

リザーバーマスクを使い酸素100%の吸入になります。

中等度から重症では、

高圧酸素療法になることもありますよ。