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3 循環器系のおはなし(2)

2022年8月31日

4つの部屋、ちゃんと覚えましたか?

心臓が動くための仕組みのおはなしに入りますよ。

 

心臓が止まらずに動き続けてくれるのは、

心筋という特殊な筋肉と、

刺激伝導系という心筋の一部の細胞群のおかげです。

刺激伝導系は、

本当は場所ごとに名前がついていて複雑なのですが…。

最初は大まかな刺激の伝わり方を理解するために

「逆『て』の字型に球が付いたもの」でイメージしましょう。

そして、心臓の4つの部屋が収縮していく順番は

「①右心房→②左心房→③両方の心室」です。

ここに、刺激伝導系の刺激伝導順を重ねますよ。

まず、刺激伝導系の球状の部分(洞房結節)から

刺激(電気)が生まれます。

するとそこにある右心房は刺激を受けて収縮します。

右心房にあった血液は、右心室に入りました。

これが①。

できた刺激(電気)は、

刺激伝導系の足に沿って同じ速度で伝わっていきます。

すると、次に届くのは左心房。

左心房にあった血液は左心室に入ります。

これが②ですね。

最後に左右の心室に刺激が伝わります。

両方の心室にあった血液は、

肺動脈と大動脈へと流れ出していきます。

三尖弁と僧帽弁があるので、心房へは逆流しません。

動脈に流れ出した後も、

肺動脈弁と大動脈弁があるので

心室に戻ってくることはありません。

これで③。

…ちゃんと、順番通りに心臓の4つの部屋が収縮してくれました。

これで、心臓から血液が全身に送り出せるのです。

 

最初に、4つの部屋の収縮順番と

刺激伝導系の刺激伝達順を確認しました。

刺激(電気)は、筋肉細胞にとっては「縮め!」の命令

神経系の運動神経は、電気刺激で筋肉に収縮命令を伝えます。

心筋は、

筋肉ながら自分で電気刺激を作ることができるのです。

「心筋は自律性がある」と言われるのはこのためです。

 

電気刺激は、1つの細胞に伝わった後、

周りの細胞へと広がっていきます。

ここのおはなしを理解するためには、

「細胞の膜電位」を理解する必要があります。

そして、ミネラルの分布が重要な理由もここにあります。

生化学や生理学、栄養学等で勉強するところですね。

基本中の基本は

「ナトリウムイオン(とカルシウムイオン)は細胞外、

カリウムイオンは細胞内に多い」です。

これ、覚えていない人は今すぐ覚えましょう。

それくらい大事なことです。

次回は、基本をもとに細胞の膜電位を説明していきますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)