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3 循環器系のおはなし(9)

2022年8月31日

「小腸で吸収した栄養を

すぐに肝臓に届けたいから、門脈系」でしたね。

今回は、肝臓がおかしくなってしまったときの

門脈系についておはなしします。

 

門脈を流れる血液は、勢いが強くありません。

後は大静脈に戻るだけの「静脈系」です。

本来通れるはずのところが詰まってきたとき、

動脈系なら「勢いで行っちゃえー!」ができます。

静脈系ではそんな血液の勢いはありません。

「通りにくいなら迂回しよう…」と

迂回ルートに流れていくことになります。

肝臓の働き(調子)が悪くなってきたとき、

門脈系の迂回ルートには

「食道静脈」「腹壁静脈」「直腸静脈」があります。

これらの迂回ルートはあくまで脇道。

あまりに流れてくる血液が多く、

長時間にわたると大変なことになってきます。

 

例えば腹壁静脈。

ここにたくさんの静脈血が流れることで、

お腹の皮膚の下に青黒い蛇がのたうっているような

血管が透けて見えてきます。

これが「メドゥーサの頭」

腹壁静脈の怒張(膨れてくること:どちょう)と説明されますね。

腹壁静脈に多くの血液が流れているせいで、

ギリシャ神話の髪が蛇にされた女性

メドゥーサのように見える…ということです。

これがお腹に見えたら、肝臓の調子が悪い証拠です。

同様に、残り2つの静脈でも瘤

(血管がこぶのように膨れること:りゅう)ができ、

破裂してしまう危険性が高まっています。

 

門脈系の必要性と、

肝臓がおかしくなったときのことをおはなししました。

門脈系では静脈の名前がたくさん出てきましたが、

実は、静脈が単独で出てくるのはとてもレアケースです。

動脈と静脈は並行していることが多く、

普通は細胞に酸素を届ける動脈のほうに注目するからですね。

 

血管系は、聞かれるところがかなりしぼられます。

だから最低限「太いところ」と

「大事な場所に行っているところ」は

理解してしまいましょう。

そうすれば、

なぜその血管ばかり質問されるのかが分かってきますよ。

 

「太いところ」の代表は大動脈ですね。

でも「大動脈」って言われて、

左心室を出てから骨盤に入って

2つに分かれるまで…を指していたら、守備範囲広すぎです。

仮に「大動脈に瘤ができた!手術だ!」ということになっても、

そもそもどこを切って開けていいかが分かりません。

だから、大まかに2つに分けました。

横隔膜より上の胸部大動脈と、

横隔膜から下の腹部大動脈です。

 

これで一段落…と思いきや、

これだけでは頭と腕に血液が行きません。

だから「腕頭動脈」が必要になってきます。

 

…まだ、腹部臓器に血液が届いていませんね。

少し長くなりますので、

ここから先は次回におはなししますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)