3 循環器系のおはなし(9)

2020年12月10日

「小腸で吸収した栄養をすぐに肝臓に届けたいから、門脈系」でしたね。

今回は、肝臓がおかしくなってしまったときの門脈系についておはなしします。

 

門脈を流れる血液は、勢いが強くありません。

後は大静脈に戻るだけの「静脈系」です。

本来通れるはずのところが詰まってきたとき、

動脈系なら「勢いで行っちゃえー!」ができます。

静脈系ではそんな血液の勢いはありません。

「通りにくいなら迂回しよう…」と迂回ルートに流れていくことになります。

肝臓の働き(調子)が悪くなってきたとき、

門脈系の迂回ルートには「食道静脈」「腹壁静脈」「直腸静脈」があります。

これらの迂回ルートはあくまで脇道。

あまりに流れてくる血液が多く、長時間にわたると大変なことになってきます。

例えば腹壁静脈。

ここにたくさんの静脈血が流れることで、

お腹の皮膚の下に青黒い蛇がのたうっているような血管が透けて見えてきます。

これが「メドゥーサの頭」

腹壁静脈の怒張(膨れてくること:どちょう)と説明されますね。

腹壁静脈に多くの血液が流れているせいで、

ギリシャ神話の髪が蛇にされた女性メドゥーサのように見える…ということです。

これがお腹に見えたら、肝臓の調子が悪い証拠です。

同様に、残り2つの静脈でも瘤(血管がこぶのように膨れること:りゅう)ができ、

破裂してしまう危険性が高まっています。

 

門脈系の必要性と、肝臓がおかしくなったときのことをおはなししました。

門脈系では静脈の名前がたくさん出てきましたが、

実は、静脈が単独で出てくるのはとてもレアケースです。

動脈と静脈は並行していることが多く、

普通は細胞に酸素を届ける動脈のほうに注目するからですね。

 

血管系は、聞かれるところがかなりしぼられます。

だから最低限「太いところ」と

「大事な場所に行っているところ」は理解してしまいましょう。

そうすれば、なぜその血管ばかり質問されるのかが分かってきますよ。

 

「太いところ」の代表は大動脈ですね。

でも「大動脈」って言われて、

左心室を出てから骨盤に入って

2つに分かれるまで…を指していたら、守備範囲広すぎです。

仮に「大動脈に瘤ができた!手術だ!」ということになっても、

そもそもどこを切って開けていいかが分かりません。

だから、大まかに2つに分けました。

横隔膜より上の胸部大動脈と、横隔膜から下の腹部大動脈です。

 

これで一段落…と思いきや、これだけでは頭と腕に血液が行きません。

だから「腕頭動脈」が必要になってきます。

 

…まだ、腹部臓器に血液が届いていませんね。

少し長くなりますので、ここから先は次回におはなししますよ。