2 薬に共通するおはなし(1):ADME

2019年5月2日

薬のおはなしは、

薬の体の中での動き方からスタートです。

「薬物動態」というと急に堅苦しく聞こえますが、

「薬はどこから入って、どこにいく?」というおはなしのこと。

難しくはありませんよ。

そしてここは消化器系と循環器系(特に血管系)の

理解を深めるにはもってこいのところです。

消化器系で口から入る食べ物と比較したいので、

最初は「飲み薬」でイメージしてくださいね。

 

食べ物は、口に入り、

消化されて細かくなってから、

小腸で体内に吸収されます。

ここまでは「体の外」にあたるので、

消化酵素は「外分泌」にあたりましたね。

 

吸収された栄養(食べ物だったものの一部)は、

門脈を通って肝臓に行きます。

肝臓は体内の合成・分解工場。

吸収したものの形を変え、

求められているものに変えてから、

血液にのせて流すと効率がいいですよね。

だから静脈系だけど小腸からいきなり大静脈に入るのではなく、

小腸から肝臓に吸収したての栄養を運ぶ門脈があったのです。

 

そして全身の細胞は流れてきた栄養を受け取って、代謝します。

酸素を使って、ATPを作る。

高校生物等でおなじみの、あのおはなしです。

 

かたや、食べ物の残部は不要物。

不要物は体の外に出さないと、

新しい食べ物を体の中に入れられなくなってしまいます。

だから水に溶ける不要物は尿として、

水に溶けない不要物は便として排出です。

 

以上、とても簡単な消化器系の復習でした。

さらにシンプルにキーワードだけにしてみると、

「消化・吸収」、「合成・分解・分布」、

「細胞代謝」、「不要物排出」ですね。

 

ほぼ同じキーワードが並ぶのが薬のおはなし。

薬の体の中での動き方(薬物動態)は、

「吸収(Absorption)」、「分布(Distribution)」、

「代謝(Metabolism)」、「排泄(Excretion)」と整理できます。

英語の頭文字をとって、ADMEとまとめることもありますね。

 

これも簡単に説明しておきましょう。

口に入った薬が小腸から「吸収」。

吸収されて血液に入った薬は、

血液にのって全身に「分布」。

分布して必要なところで働いた薬は、肝臓で「代謝」。

代謝(分解)されて役目の終わった薬は、

腎臓で不要物として尿に入り、「排泄」です。

…説明すらいらないレベルでしたね。

 

ちょっぴり消化器系のおはなしと違うところはありますが、

「おおまかな動きは同じ」と分かってくれたはず。

これが、薬の体の中での動き方の基本

(かつ、消化器系と循環器系の一部の復習)です。

 

基本があるということは、応用もあるということ。

次回から、ちょっとずつ「違い」の部分をおはなししていきます。

もし今回の消化器系と循環器系のおはなしの理解が不十分なら、

「解剖生理学講義

(Youtube きそのき解剖生理学)」で復習しておいてくださいね。