5 脳神経系と内分泌系のおはなし(17)

2022年9月23日

大脳の働きのうち、分かっているところのおはなし。

神経伝達物質異常についての説明です。

本当は正常を説明してから、

異常の説明をしたいところですが…。

脳の特殊性ゆえ、異常から

「だからここに関係しているはず!」と

推測していきますよ。

 

ここで出てくるのが神経伝達物質の

ドーパミン、アセチルコリン、ノルアドレナリン

もっとたくさんの種類がありますが、

今回はこの3人でご紹介です。

ノルアドレナリンとドーパミンは、

モノアミンと呼ばれるグループに含まれます。

 

このモノアミンが脳の中で少なくなると、

うつ状態(何もする気力が出ない…)になるとする

「モノアミン仮説」があります。

モノアミンが伝達に使われた後

分解されて消えないようにする薬は、

うつ病のお薬。

神経伝達物質を使った後に

もとの細胞に取り込まれないようにするお薬も、

うつ病のお薬です。

 

この「取り込み」の邪魔というのは、

受容体(受け止めるところ)の邪魔でもあります。

うつ病の薬を飲んで

立ち眩み(たちくらみ)が生じるのは、

アドレナリンのα1受容体が

ブロックされたことに関係します。

また、口渇(くちのかわき)、

目のかすみ、乏尿・便秘等は

アセチルコリンのムスカリン受容体が

ブロックされたことに関係しています。

精神の世界と神経伝達物質の関係は結構深く…。

例えば、アセチルコリンが出すぎて

ドーパミンが不足すると、

パーキンソン病(またはパーキンソン様症状)が出る

と考えられています。

パーキンソン病とは、

4つの主症状

(振戦:ふるえ、筋固縮、姿勢保持異常、無動)のうち

2つ以上がでたもの。

姿勢保持異常は少し前かがみになって、

膝を曲げてすり足で歩くこと。

無動は動作緩慢、瞬き減少、運動量減少、

仮面用顔貌などのことです。

ようするに、

筋肉がうまく働いていない状態…ですね。

しかも原因が筋肉ではなく、

運動を命令する神経細胞(の神経伝達物質)にあります。

 

じゃあ、アセチルコリンを邪魔すればいいと思いきや。

アセチルコリンの受容体(ムスカリン受容体)を邪魔すると、

健忘(記憶にございません…)が起きてしまいます。

アセチルコリンは、

記憶に関係が深いことが分かっています。

年を取ったら自然に減ってくるアセチルコリン。

「年をとったら忘れっぽくなった」は、

ごく正常・自然な加齢減少の1つです。

 

それならドーパミンを増やせばいいのかというと。

ドーパミン過剰が

統合失調症の原因ではないかと考えられています。

実際、ドーパミンの受容体をブロックすると、

統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想)が治まってきます。

これがメジャートランキライザーというお薬の一群です。

神経遮断薬とも呼ばれるのは、

興奮して暴走している神経細胞(と他の細胞とのつながりを)を

止めてあげるからです。

…そうすると、ドーパミンが減ってきますので

先におはなししたパーキンソン病様症状が出てきます。

だから、精神看護では

お薬とその副作用の理解が大事になってくるのですよ。

 

神経伝達物質から理解する大脳の働きの仕組み、一段落。

次回は意思決定の根っこにある、

大脳辺縁系に入りましょう。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)