4 消化器系のおはなし(6)
胃から出た食べ物は、
糖質とタンパク質がある程度細かくなっている状態。
まだ、脂質は手つかずのままですね。
もうそろそろ、脂質の消化も始めましょう。
十二指腸と肝臓・膵臓のおはなしに入ります。
十二指腸は文字の通り「十二本の指の長さ」のところ。
胃と小腸をつなぐところです。
そして後腹膜臓器の1つで、
肝臓や膵臓からの消化液等が
食べ物と合流するところでもあります。
後腹膜臓器というのは
「腹膜よりも後ろ(背中側)にある臓器」。
ヒトの体は、
胴体中央部が内臓を入れる空間(体腔)になっています。
そこに適当に内臓を入れておいたのでは、
ぶつかったりずれたりして大変なことに!
だから、空間をまずパッキング材(膜)で覆い、
さらに個別の臓器の周辺をパッキング材で覆うようにしました。
このパッキング材が腹膜です。
後腹膜臓器は、他の臓器のように
個別のパッキング材(腹膜)に包まれていない…
パッキング材の後ろにあるよ、という意味です。
後腹膜臓器に含まれるのは
膵臓・十二指腸・腎臓・副腎。
これらは「(パッキング材に)埋め込む」形で安定しています。
消化酵素等と「食べ物の合流地点」について。
膵臓から出る消化酵素は、糖質消化酵素のアミラーゼ、
タンパク質消化酵素のトリプシン、脂質消化酵素のリパーゼです。
あと、肝臓で作られる胆汁酸は脂質吸収に必要でしたね。
このあたりは生化学の復習です。
復習ついでにもう1つ確認。
胃でもタンパク質消化酵素ペプシンが出ていました。
膵臓から出るタンパク質消化酵素
トリプシンがフルパワーで働ける環境は?
そう、(弱)アルカリ性のpH8~9でしたね。
つまり、胃から来た胃酸で酸性になっている食べ物を
アルカリ性にする必要があります。
そこで、膵液による中和が必要になってくるのです。
化学の言葉としての「中和」は、
pHをぴったり7にしないといけません。
でも体の中の中和はそこまで厳密に考えなくても大丈夫。
「だいたいpH7」のイメージでいいですよ。
膵液はアルカリ性。
膵液が十二指腸に出ることで、
食べ物は酸性から中性付近まで中和され、
膵臓から出るタンパク質消化酵素
トリプシンが働ける環境になるのです。
肝臓から十二指腸へ向かう管が胆道系。
肝臓で作った胆汁酸を胆嚢に貯めて、
必要に応じて胆嚢から押し出します。
胆道系が合流した後、膵臓から十二指腸への開口部
「大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)」の名前も
覚えておきましょうね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220912更新)