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3 循環器系のおはなし(4)

2022年8月31日

細胞の膜電位のおはなし、分かりましたね。

(電気)刺激で細胞が

「マイナス→プラス→マイナス」と動くせいで、

周囲の細胞にも電気刺激が伝わることも理解できました。

ここまで分かれば、心電図を理解できますよ!

 

心電図というのは、

心臓全体の電気度合いを図に示したものです。

 

最初にお約束。

「心臓(の中心)から遠ざかる方向に

伝わる電気をプラス(+)で、

心臓(の中心)に向かう方向に

伝わる電気をマイナス(-)で表します」

このお約束に従って図を書きますよ。

そして、心臓の電気が伝わっていくことで収縮する順番は

「洞房結節→右心房→左心房→右心室・左心室」でしたね。

部屋ごとの筋肉細胞数や、

収縮順をまとめただけではまだ心電図にはなりません。

全部の波を重ねると、おなじみの心電図の形が完成です。

 

 

もちろん、「プラス」と「マイナス」を決めるためには

「ゼロ(0)」が必要。

ゼロは、原則として地面を基準としています。

でも、心電図を測る機械によっては

地面と接触しないものもあります。

そんなときには「2か所の平均」を「ゼロ」としますよ。

ここまでが、心電図の基本知識。

ここからは、ちょっぴり応用。

「心電図の測り方」「正常心電図と異常心電図」です。

 

心電図は、心臓全体の電気度合い…といっても、

心臓に電極を刺すわけではありません。

電極というシール(や吸盤、布団はさみのようなもの)で

電気度合いを見ています。

なぜこれで「心臓の電気度合い」が分かるのかというと、

心臓で生まれた電気は、

心臓の外へも広がって伝わっていくからです。

すごく弱いので「電気!」と感じることはありません。

そして電極は

「どちら向き(プラス、マイナス)の電気がそこに流れたか」を

見ていることになります。

 

実は、電極が見ているのは「ついている部分」だけではありません。

「心臓から電極に向かって1直線上にある点の電気」を

見ていることになります。

心電図を取るときの方法にはいろいろありますが、

そのうちの1つに電極を両手首と足首につける方法があります。

腕を広げてみると、

腕の電極を付ける位置が、

両心房のほぼ直線状にあることが分かります。

この3点で測るときには、

基準点は「両腕の電位の平均」です。

両足首を使う4点で測るときには、

黒い電極端子が基準の役目を果たしますよ。

では、残った1点の電極はどこを見ているのか。

心室(特に左心室)から出た電気を見ているのです。

左心室は、全身に血液を送り出す部屋でしたね。

 

…ここまでを、まとめておきましょうか。

心電図は心臓から外に伝わった電気を見るものです。

具体的には基準と比べて、

心臓の左心室からどちら向きの電気が

どれだけ生まれたか、を見ています。

心臓から遠ざかる向きに電気が流れていったらプラスなので、

心電図に現れる波は上に向かいます。

心臓の中心に向かって電気が流れたらマイナスなので、

心電図の波は下に向かうことになりますね。

次回は「心電図の波」をもう少し見ていきますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)