4 消化器系のおはなし(7)
膵臓の重要性、前回理解できましたね。
消化酵素産生地点としても、
中和剤作成地点としても大事な役割を果たしていました。
「消化」も「中和」も大事なので、
それぞれ別のホルモンがコントロールしていましたよね。
消化担当はコレシストキニン、中和担当はセクレチン。
具体的な働きの内容は、
生化学「11 ホルモン」にありますよ。
ついでに、膵臓のホルモン産生地点としての働きも
復習してしまいましょう。
膵臓のランゲルハンス島A(α)細胞から出るのが、グルカゴン。
血糖値を上げるホルモンの1つですね。
膵臓のランゲルハンス島B(β)細胞から出るのが、インシュリン。
血糖値を下げるたった1つのホルモンです。
あとは消化管全体の働きを抑制するソマトスタチンも出ています。
これらホルモンは「内分泌」。
消化酵素が「外分泌」…と呼ばれる理由は
「ヒトを究極単純化したら、ちくわ」でしたね。
膵臓は消化酵素を作っている部分が約95%を占めます。
残りの5%が寄り集まりながらホルモンを作っていて、
大きな海に浮かぶ島のように見えるから
「ランゲルハンス島」…だそうです。
消化酵素を作る、ホルモンも作る。
そんな膵臓が言うことを聞かなくなると…かなり「やばい」状態です。
それが膵臓癌。
特に消化酵素産生細胞が言うことを聞かずに増えまくると、
消化酵素が作られすぎて周囲の細胞を「消化」し始めます。
これが「自家消化」という状態です。
しかも膵臓は後腹膜臓器ですから、
なかなか腹側から様子を探れません。
「なんかおかしいな~」で病院に行ったら、
見つかったときには手の施しようがない…
二重の意味で膵臓癌は「こわい」のです。
まだ若い有名人の訃報原因に膵臓癌が多いのは、
このためですね。
消化酵素という意味では怖くない肝臓ですが。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれます。
ある程度の再生能力があり、調子は悪くなりにくいのですが。
…一度おかしくなると、こちらも大変です。
肝臓の役割を思い出してみてください。
「合成・分解・貯蔵・消費」の場でしたよね。
肝臓が働かないと、
空腹時の血糖を支えるグリコーゲンができませんし、
グリコーゲンを貯めておくこともできません。
筋肉に貯められるグリコーゲンは筋収縮用ですから、
使えませんよ。
毒が体の中に入ってきても、
分解できずに体の中を回ってしまいます。
飲む薬だって「一種の毒」ですから、
「薬が効かない!」なんてことも起こります。
タンパク質も脂質も、目的に合わせた作り替えができず…
生きていくこと、かなり難しいですね。
だから、肝臓だってすごく大事なのです。
膵臓と肝臓の重要性を復習できたところで、
次回はいよいよ小腸から栄養を吸収しますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220912更新)