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4 消化器系のおはなし(7)

2022年9月12日

膵臓の重要性、前回理解できましたね。

消化酵素産生地点としても、

中和剤作成地点としても大事な役割を果たしていました。

「消化」も「中和」も大事なので、

それぞれ別のホルモンがコントロールしていましたよね。

消化担当はコレシストキニン、中和担当はセクレチン。

具体的な働きの内容は、

生化学「11 ホルモン」にありますよ。

 

ついでに、膵臓のホルモン産生地点としての働きも

復習してしまいましょう。

膵臓のランゲルハンス島A(α)細胞から出るのが、グルカゴン。

血糖値を上げるホルモンの1つですね。

膵臓のランゲルハンス島B(β)細胞から出るのが、インシュリン。

血糖値を下げるたった1つのホルモンです。

あとは消化管全体の働きを抑制するソマトスタチンも出ています。

これらホルモンは「内分泌」。

消化酵素が「外分泌」…と呼ばれる理由は

「ヒトを究極単純化したら、ちくわ」でしたね。

膵臓は消化酵素を作っている部分が約95%を占めます。

残りの5%が寄り集まりながらホルモンを作っていて、

大きな海に浮かぶ島のように見えるから

「ランゲルハンス島」…だそうです。

 

消化酵素を作る、ホルモンも作る。

そんな膵臓が言うことを聞かなくなると…かなり「やばい」状態です。

それが膵臓癌。

特に消化酵素産生細胞が言うことを聞かずに増えまくると、

消化酵素が作られすぎて周囲の細胞を「消化」し始めます。

これが「自家消化」という状態です。

しかも膵臓は後腹膜臓器ですから、

なかなか腹側から様子を探れません。

「なんかおかしいな~」で病院に行ったら、

見つかったときには手の施しようがない…

二重の意味で膵臓癌は「こわい」のです。

まだ若い有名人の訃報原因に膵臓癌が多いのは、

このためですね。

 

消化酵素という意味では怖くない肝臓ですが。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれます。

ある程度の再生能力があり、調子は悪くなりにくいのですが。

…一度おかしくなると、こちらも大変です。

 

肝臓の役割を思い出してみてください。

「合成・分解・貯蔵・消費」の場でしたよね。

肝臓が働かないと、

空腹時の血糖を支えるグリコーゲンができませんし、

グリコーゲンを貯めておくこともできません

筋肉に貯められるグリコーゲンは筋収縮用ですから、

使えませんよ。

毒が体の中に入ってきても、

分解できずに体の中を回ってしまいます。

飲む薬だって「一種の毒」ですから、

「薬が効かない!」なんてことも起こります。

タンパク質も脂質も、目的に合わせた作り替えができず…

生きていくこと、かなり難しいですね。

だから、肝臓だってすごく大事なのです。

 

膵臓と肝臓の重要性を復習できたところで、

次回はいよいよ小腸から栄養を吸収しますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220912更新)