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6 筋骨格系のおはなし(2)

2022年10月11日

筋肉が収縮…「動く」ためにはATPが必要。

前回のミオシンタンパクの首の動きのもと…でしたね。

ATPをどうやって取り出すかは、

筋肉の色によって違いますよ。

 

筋肉は赤い筋肉と白い筋肉に分けられます。

魚には赤身と白身がありますね。

厳密には違いはありますが、

とりあえずはそのイメージでオーケーです。

赤身の「赤」はミオグロビンの赤。

ミオグロビンは、

赤血球色素のヘモグロビンに似たもの

似ている以上、

酸素と適度にゆるーくくっつくことができます

つまり「うまく酸素をためておくことができる」わけです。

かたや白身は…ミオグロビンがあまり多くありません。

こちらは「酸素はためておけない」サインですね。

と、いうことは。

筋肉が収縮のためにATPを取り出そうとしたら、

赤筋では酸素を不自由なく使えるけど、

白筋ではあまり酸素は使えそうにないな…ということになります。

ここで「細胞のATPの取り出し方」を思い出してみましょう。

生物や生化学でおなじみ

「グルコース1個から、何個のATPを取り出せますか」です。

 

酸素があれば36ATPで、酸素がないと2ATPだったよね…

 

数と一緒に、どこで酸素が必要になるかも復習しましょう。

解糖系では酸素がいらないけど、2ATPどまり。

TCAサイクル(クエン酸回路)ではミトコンドリアの中に入るので

酸素が必要になってきました。

呼吸鎖(電子伝達系)もミトコンドリアの中の話ですから、

やっぱり酸素が必要でしたね。

 

ここに筋肉の色を組み合わせますよ。

白筋はあまり酸素が期待できない…でも収縮必要がある。

そんなときは解糖系からATPを手に入れます。

でも(グルコース1個から)2個しかできないので、

収縮可能時間は少なそうです。

赤筋は酸素をどんどん使ってよさそうです。

ミトコンドリアを使う

TCAサイクル(クエン酸回路)や

呼吸鎖(電子伝達系)も問題ありません。

ATPは(グルコース1個から)36個できますから、

収縮(運動)は複数回…長時間持続できそうですよ。

これらが「白筋は瞬発性、赤筋は持続性」の理由ですね。

魚の筋肉でおはなししましたが、ヒトの筋肉も同じこと。

ミトコンドリアとミオグロビンがたくさんいる赤筋と、

ミオグロビンが少ないから

ミトコンドリアもあまりない白筋があります。

ヒト体内の赤筋と白筋の割合は、約半分ずつ。

これがヒトの生活に適した瞬発力と持続力割合なのでしょう。

 

次回は筋肉の色以外の分類のおはなしです。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221011更新)