6 筋骨格系のおはなし(8)

骨が減る(骨量が減る、骨がもろくなる)ときはどんなときか。

考え方は筋肉と一緒。

「負荷がないとき」「材料がないとき」「ホルモンが出なくなったとき」です。

 

負荷がなくなる例は分かりますよね。

無重力空間(宇宙)だけでなく、寝たきりもこの原因。

地球で普通に生活することが、立派な負荷…というおはなしでした。

 

材料がないときに、飢餓状態が含まれることは分かりますね。

そこまでいかずとも、栄養不良も材料不足になります。

特に「妊娠中」を追加しましょう。

妊娠中ということは、お腹の中に赤ちゃんがいるということ。

赤ちゃんは、お母さんから栄養分を受け取って

全力で細胞分裂中です。

お母さんの食事が「2人分の栄養提供」として十分ならばいいのですが…

通常はそこまでうまくはいきません。

足りないとき、母体は赤ちゃんへの栄養提供を最優先します。

よく足りなくなるものが、カルシウムです。

カルシウムは骨や歯の材料…だけではありませんでしたね。

生化学「9 ビタミン・ミネラル」でおはなししたように、

神経細胞・筋肉細胞にも必要なものです。

だから、母体は骨に貯め込んでおいたカルシウムを

どんどん血液に溶かし出して胎児に届けます。

結果、出産後の骨はスカスカになっていることが多いです。

母体の骨から溶け出る量を少なくするために、

妊娠中の食生活にはちゃんと気を配ってくださいね。

以上、妊娠中の食生活の重要性(母性看護)につながる話題でした。

 

そして「ホルモンが出なくなったとき」。

特に「性ホルモン」に要注意です。

性ホルモンは生殖に必要な働きを維持するために出るホルモン。

生殖に適した状態ではなくなると…やがて分泌されなくなります。

女性の「閉経」ですね。

閉経したということは、女性ホルモンは出ていません。

女性ホルモン(ここでは卵胞ホルモン)の骨への働きは、何でしたっけ?

 

…骨芽細胞応援と、破骨細胞抑制…

これが、どっちもなくなるってことは…

 

はい、骨芽細胞は応援がなくなってしょんぼり。

破骨細胞は押さえつけがなくなって元気な状態です。

閉経前と比べて、ずいぶん骨の壊れるペースが早くなりますね。

倉庫自体がもろくなって壊れてしまう…

これがちょっとしたことで骨折してしまう「骨粗鬆症」です。

「手をついた衝撃」のように分かりやすい骨折もあれば、

何もしていなくても自重で脊椎がつぶれた骨折(圧迫骨折)もあります。

特に腰(腰椎)で圧迫骨折が起こりやすい…というおはなしは、

デルマトームのところで紹介しましたよね。

 

男性でも、性ホルモン分泌減少は起こります。

でも「減少」でとどまることと、

骨への作用がカルシウム・リン酸貯蔵のため、

骨粗鬆症のような派手な変化は見られません。

むしろ精神的変化のほうに注目しておきましょう。

女性では昔から

「更年期(精神不安定・自律神経失調症状等)」として知られてきましたが、

男性でも同様の変化があることが知られてきたのは近年のことです。

 

次回は、骨周辺のおはなしに入りますよ。