9 呼吸器系のおはなし(3)骨の異常(2)

大腿骨骨折で怖い合併症は、

感染症の他にも「静脈血栓塞栓症(VTE)」と

「脂肪塞栓症候群」があります。

この辺りは循環器系でおはなししてありますから、

簡単に。

 

静脈には浅いところを走る皮静脈と、

深いところを通る深部静脈があります。

主に深部静脈で生じる血栓が流れて詰まる

(塞栓)が問題になりますね。

血栓の危険因子は血行障害、静脈内皮障害、凝固能亢進。

骨折して血管(骨への栄養動脈・静脈)が傷つくことで、

これらの危険因子が重複していることが分かるはずです。

 

脂肪塞栓症候群の発生原因にはいろいろありますが、

特に長管骨(大腿骨や脛骨といった細長い骨)の骨折で

起こりやすくなります。

脂肪塞栓症候群の三徴は

皮膚の点状出血、意識障害、呼吸不全。

骨折して数時間から数日で、

意識障害や呼吸障害で見つかることが多いですよ。

予防には、骨折して24時間以内の早期固定が一番です。

 

骨折の治療方法としては、

小児だと、ギプスで固定することが多いですね。

場合によっては、創外固定になることもあります。

小児は治りやすい(骨癒合しやすい)ので安心ですが、

ときには変形や遅れ(遅延癒合)、

骨がくっつかない(偽関節)こともありますので、

注意して経過を観察してくださいね。

 

成人では即手術になることが多いですが、

全身状態いかんによっては

創外固定で状態回復を待つこともあります。

あとでおはなしする人工関節を使っているなら、

プレートとワイヤで固定することになりますね。

合併症を防ぐためにも、

早く骨折部をもとの位置に戻してあげましょう。

急性期にはショックに危険もありますから、

危険徴候を見逃さないように。

あとは血栓予防のために足関節の運動もしていきましょう。

もう1つ忘れてはいけないことは

「コンパートメント症候群」。

「コンパートメント」とは、

筋膜に囲まれた区画(主に筋肉の入っている場所)のこと。

骨折して出血があると、出た血が体の中にたまり、

筋膜に囲まれたコンパートメントを圧迫します。

その圧迫のせいで循環不全が起きて、

筋肉、腱、神経の機能障害や壊死につながるものです。

異常感覚や疼痛、麻痺、冷感や

部分的蒼白、脈拍を触れない等が見られたら、

すぐに医師に報告です。

きっとコンパートメント内の圧力を下げる

緊急手術(筋膜切開)になるはずです。

 

骨の中央部、骨髄の炎症が骨髄炎。

主に細菌感染による化膿性骨髄炎です。

血液中を流れる細菌による血行性と、

骨折・手術・骨髄穿刺等による

外傷性のものに分けられます。

褥瘡のような局所血行障害による

皮膚の潰瘍から骨にまで感染が及び、

高熱、悪寒、局所の痛み(疼痛)が出て、

再発を繰り返すと慢性化することもあります。

基本的には、安静にして、

抗生剤で治療することになりますね。