8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(2)大腸(6)

裂肛というのは、

肛門管に生じた裂創、潰瘍等の創(きず)の総称です。

若い女性に多く、

約9割は6時方向(背中側中央)にできます。

主に、機械的刺激が原因。

便秘だけでなく下痢も原因になりますし、

肛門性交や異物挿入も原因になりますね。

 

排便時に疼痛・出血があるのが主症状。

排便時の血も痛みも怖くなり、

便を我慢しがちになります。

…大腸滞留時間が延びると、

便の水分がどんどん吸収されて、便が硬く太くなります。

さらに裂創が拡大する悪循環ですね。

慢性化してしまうと、

潰瘍や肛門狭窄を起こしてもっと排便が困難になることに。

 

治療の基本は、生活指導と排便習慣の改善です。

必要に応じて表面麻酔薬軟膏や

緩下剤を併用することもありますよ。

狭窄を起こしてしまったら

手術になることもありますが、

便失禁が起こることもあるので、

可能ななかぎりそうなる前に対処しましょう。

 

肛門の外に、

直腸はじめ周辺器官が出てしまうこともあります。

直腸が出てしまうと直腸脱、膀胱が出てしまうと膀胱脱、

子宮が出てしまうと子宮脱。

全部まとめて「臓器脱」です。

排便時の腹圧と骨盤底筋群の弱体化で起きますので、

どうしても高齢女性に多くなります。

直腸脱の症状は肛門周辺の湿疹と疼痛、

粘血便や直腸粘液・便失禁による汚れです。

根治したいなら手術しかありませんが…

そうなる前に生活習慣改善でコントロールしていきましょう。

「骨盤底筋群」と「便秘解消」がキーワードです。

 

肛門がその役目を果たせなくなったときに、

代わりに食べ物だったもの(残りかす)を

出すために作るのが人工肛門(ストーマ)です。

手術のために一時的に人工肛門を作ることも、

ずっとそこから残りかすを出すための

(永続的)人工肛門を作ることもあります。

どちらも基本は

「おかしくなってしまったところよりも上流に、

体表と(結)腸をつなげる」ですね。

 

人工肛門について考えるときには、

肛門にあって他の腸(主に結腸)にはないものを

思いだすといいですよ。

肛門には、内外の括約筋がありました。

物理的刺激に強い扁平上皮細胞があり、

ものが引っかからないように粘液を出す

円柱上皮細胞もありました。

 

でも、これらは他の腸にはありません。

だから、残りかすを出すか否かの

コントロール(せきとめ)ことはできず、

袋(パウチセット)を付けておく必要があります。

 

残りかすの性状によっては、

人工肛門が傷つくかもしれません。

逆に腸液のしみ出しによって

人工肛門周辺の皮膚が炎症を起こすかもしれません。

さらに便が自分の意思と関係なく出てくることに伴う、

身体的のみならず精神的負担も考える必要がありますね。

人工肛門を作ることが決まったら、

これらに関する情報提供の開始です。

人工肛門とうまく付き合っていけるよう、

練習をはじめとした情報提供の方法も工夫してみてください。