2 皮膚(1)基本構造と細胞に必要なもの
まずは皮膚の基本構造を確認。
皮膚は上皮細胞による上皮組織に分類されて、
表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。
表皮の一番上(もっとも外側)にあるのが角質(角質層)。
真皮には触覚担当の神経がいて、
皮下組織には体温維持のための皮下脂肪があります。
皮膚全体の約70%はタンパク質。
主成分は、骨や軟骨のもとにもなっているコラーゲン。
いくつか種類のあるうち、
骨にもあるⅠ型と主に皮膚にあるⅢ型コラーゲンが
真皮に多く含まれていますよ。
いわゆる「お肌のハリ」を保ってくれるのは、
コラーゲンのばね状構造と、
そのばねの間に挟まる水(水分)のせいですね。
さて、ここまでのおはなしをもとに「皮膚」には何が必要でしょうか。
「皮膚」と言われると分からなくなってしまう人は、
「細胞には何が必要でしょうか」に言い換えてみましょう。
…結論は、
「きそのき解剖生理学」のイントロダクションで確認したことと
全く同じになります。
では、そこに至るまでの道筋を一緒に見ていきましょう。
皮膚は、ヒトの体の一番外側にあります。
ヒトの体外環境はいろいろと過酷なため、すぐに傷がついてしまいます。
だから表皮の一番上は、
もう生きていない細胞の角質でガードしていますが、
傷みやすいことに変わりはありません。
「すりむいた!」「紙で切った!」「火傷した!」
…みなさんも体験ありますよね。
だからヒトはじめ動物の皮膚は、傷がつくことを前提に、
どんどん細胞を作り直していくことを選びました。
これは粘膜でも同じこと。
栄養を常に100%吸収できる様にいつも作り直している、
小腸の上皮細胞のことを思い出せましたか?
細胞を作り直すこと、イコール、細胞分裂をすること。
では、細胞分裂には何が必要でしたっけ?
「酸素とグルコースでATPを作ること」と、
「細胞とDNAの材料になるもの」が必要になりますね。
タンパク質と脂質がないと、細胞膜が作れません。
五炭糖(リボースやデオキシリボース)と、リン酸と、
塩基(アミノ酸から作るもの)がないと、
核酸(DNAやRNA)を作れません。
そしてグルコースはATPの主な原料。
これらを手に入れるためには、消化器系の働きが必要です。
残りかすを外に出さないと次の食べ物を入れられませんから、
下部消化器系や泌尿器系も忘れてはいけませんよ。
酸素を体に取り入れるためには呼吸器系が必要。
栄養分も酸素も、
循環器系がちゃんと働かないと細胞のところまで届きません。
そして表に出てこない分忘れられがちですが、
消化器系・呼吸器系・循環器系がちゃんと働くためには
脳神経系のコントロールが必要です。
筋骨格系がないと、これら器官系が「動く」ことすらできません。
そもそも生まれてこなければ
細胞レベルの話すら始まらないところに注目すると、
生殖器系をおろそかにすることもできませんね。
だから結論として
「生きるために必要な器官系全ての働きが必要」になるのです。
結論までの道筋、確認終了です。