2 皮膚(3)皮膚に必要なもの
では、2つのアミノ基と入れ替わった
パラフェニレンジアミンではどうか。
こちらも元になったヒドロキノン同様に還元性があります。
その還元性のおかげで、
後でおはなしする染髪のところでも役に立つのですが。
皮膚に残ると、これまたヒトに悪影響が出る可能性があります。
血液で、ヘモグロビンをメトヘモグロビンという
「酸素と手をつないでくれないもの」に変えてしまうのです。
皮膚や粘膜から吸収されるときに、
周りの細胞に悪さをして
(ヒドロキノンもメラニンを作る細胞に悪さをしましたね)、
刺激感が出てきます。
さらに血管に入り込んでは
赤血球のヘモグロビンを役立たずに変えてしまう…
こんなものが体の中に入ってきてはたまりません。
ヒトの体はパラフェニレンジアミンを「異物!」として、
白血球総動員で追い出し(処分)にかかります。
これが炎症(赤くなって、痛くて、腫れて、熱を持つ)です。
追い出しがあまりにも強くなると、
過敏症(すぐに出るⅠ型、後からじわじわと出続けるⅣ型)ですね。
一度「異物!」と認定すれば、
その後はかなりの高確率で触るたびに炎症が出ることになります。
…「職業として」これらを日々扱う美容師等では、
仕事を続けられなくなるかもしれません。
職業起因疾患として労災問題になることも少なくありません。
このように重大な接触性アレルギーは、
「触れない」ことが最大の予防法。
個人で染めるなら、手袋やゴーグルは必須。
髪を染め終わった後も、頭皮等を十分に洗い流すことが必要です。
職業として染めるときにも、手袋をぜひ使ってください。
そしてどちらも毎回パッチテストを忘れずに。
実際に髪を染める前に、皮膚
(角質が少なく、真皮以下への影響が見やすい上腕内側:「二の腕内側」)に
染髪剤を付けて、炎症症状が出ないかを確認です。
ここで染髪剤をつけたところが変になった
(赤くなった、かゆくなった等)ら、染髪中止!
髪を染められなくなりますが、
頭や顔、首等の皮膚に炎症が出ることを防げます。
そこの皮膚に炎症が出てしまったら、
「髪を染める」どころの話ではなくなってしまいますからね。
以上、簡単ながら皮膚のおはなしでした。
皮膚の働きと構造について、かなり理解が進んだはずです。
決して「試験科目」として単に覚えて終わるのではなく、
「そっか!じゃあ、きれいな肌でいるために気をつけなきゃ!」と
日々の生活に活かしていってくださいね。
この後は皮膚の延長線上ともいえる爪と髪のおはなしです。
どちらも「前提は皮膚!」であることを
意識しながら読んでくださいね。