4 髪(2)シャンプー・リンス・コンデショナー
いきなり変な言葉が出てきましたが…
出来るだけ簡単に説明しますね。
アンモニア(NH₃)に水素(H)がもう1つくっついて、
安定した形がアンモニウムイオン(NH₄+)。
アンモニア自体はヒト体内でも作られるありふれたもの。
アンモニウムイオンは、アンモニアが水に溶けたときの形です。
アンモニウムイオンは、窒素(N)の4本ある手と、
4個の水素(H)が手をつないでいます。
この「水素と手をつないだところ」が、
「他のもの(主に炭素と水素が中心になったもの)」に変わると、
「第~級アンモニウムイオン」になります。
4個あった水素が全部「他のもの」と変わる(4個変わる)と、
「第4級アンモニウムイオン」です。
本によっては「他のもの」のことを「有機基」と説明しているはず。
「基」は「部分」という意味で、
「有機」というのは「炭素が主成分だよ」という意味です。
「有機基」と言われると頭が痛くなりそうですが、
「炭素が主成分になった部分のこと」なら、
「そんなものなんだね」で済みますね。
4個「他のもの」に変わった「第4級アンモニウムイオン」は、
もとになったアンモニウムイオン(NH₄+)と比べて
炭素と水素の量が増えます。
これ、セッケンの基本(脂肪酸)でおはなしした
「炭化水素鎖(炭素水素鎖:炭素と水素の鎖)」同様、
「水嫌い(疎水性)で、油と手をつなげる」ということです。
もともとが水に溶けるもの(アンモニウムイオン)で、
そこから油とも手をつなげるようになった…
これが水とも油とも仲良くできる界面活性剤ですね。
「界面」のイメージは、
水に油を浮かべたときの混ざり合わない「境界」。
これが活性化する
(混ざるようになる:ミセルになって溶けるようになる)のが
「界面活性剤」です。
「ん?セッケンは…界面活性剤?」
はい、大正解。
セッケン(ここでは基本的な「脂肪酸ナトリウム塩」)も、
油を水に混ぜる
(ミセルになって溶けるようにする)界面活性剤です。
セッケンは水に溶かすと、ナトリウムイオン(Na+)と
「脂肪酸の端がCOO-になったもの」に分かれます。
水にも油にもなじむことができるのは、
「脂肪酸の端がCOO-になったもの」ですね。
この部分がマイナスに傾いている
(マイナスの電荷を帯びている)ので、
「陰イオン界面活性剤」とも呼びます。
第4級アンモニウムイオンは、
もともとがアンモニウムイオン(NH₄+)で
プラスに傾いている(プラスの電荷を帯びている)ので、
「陽イオン界面活性剤」ですね。