12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑥パーキンソン病の薬(7)
不随意運動の後半。
あまりお目にかからないはずの不随意運動の例として、
「振戦」、「チック・トゥレット」、「静座不能(アカシジア)」、
「舞踏運動(コレア)」、「アテトーゼ」、「バリスム」、
「ジストニア(ジストニー)」があります。
振戦というのは、反復性のあるリズミカルな運動。
プルプル、ブルブルといった小刻みな動きで、
安静時に出ると分かりやすいですね。
運動時(動かそうとしたとき)に出ることもありますよ。
例えば慢性アルコール中毒の人で「飲まないと手が震える…」のが振戦です。
小刻みな動きという意味で近いのが「チック」。
チックは突発的かつ不規則な、体の一部が素早い動き(や発声)を伴うもの。
チックの中でも声と特定行動が主に出るものを「トゥレット」と呼びます。
ため息のような静かなものから、
相手に聞こえるうなり声、汚言症(シネ、バカ等々)までありますよ。
行動もしかめ面のような表情変化から他人に触ることまでも含み、結構多種多様です。
手足に不随意運動が出る例として、
下肢がむずむずして座っていられない「静座不能(アカシジア)」。
まるで踊っているかのような「舞踏運動(コレア)」。
たこの足のようにゆっくりと動き続ける「アテトーゼ」などがあります。
特に激しく手足を投げ出してしまう「バリスム」は、骨折の危険があるので要注意!
あとは、持続的な筋肉の緊張で姿勢が変になってしまう
(そして反復性運動が出る)ものが「ジストニア(ジストニー)」。
首が片方に傾いてしまう痙性斜頸や、
書くときだけ姿勢が変になり変な力が入る書痙などがありますよ。
これらの不随意運動を一言でまとめてしまうと、「ジスキネジア」になります。
不随意運動の簡単なまとめ、一段落。
パーキンソン病とそこに効く薬の理解が深まったところで、
パーキンソン症候群のおはなしです。
パーキンソン病は神経伝達物質のドーパミンと深い関係がありました。
ドーパミンは、他の病気の薬によって影響を受けてしまうことがあります。
例えば、この次に出てくる統合失調症の薬の一部は、
ドーパミンの受容体をブロックします。
すると「ドーパミンが不足した」のと同じ状態になりますから…
パーキンソン病に似た症状が出てくることがあります。
これがパーキンソン症候群です。
細かい分類は、今は気にする必要はありません。
まずは薬のせい(薬物性)と中毒のせい(中毒性)で起こりうるんだ…と
分かってくれればいいですからね。