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4 髪(2)シャンプー・リンス・コンデショナー

少々長くなりましたが、

これで「第4級アンモニウム塩」というものがどんなものか

イメージできるはず。

 

次は「なぜこれが静電気を防止するか」ですね。

第4級アンモニウム塩は、水に入れると

水にも油にもなじむ陽イオンの部分(第4級アンモニウムカチオン)と、

陰イオンの部分に分かれます。

そして水に濡れた髪(一般的な「繊維」)は、

マイナスに傾いています。

ちょっとしたことでマイナスの電気を帯びやすい…

これは「下敷きをこすると髪が逆立つ」ところで

おはなししましたね。

そうすると、濡れた髪(マイナス)に

陽イオンのうち水好きの部分がぴったりとくっつき、

反対側の水嫌いの部分(油となじむ)が、

髪の外側を向いて並ぶことになります。

これ、髪を少し遠くから見ると

「髪の表面をごく薄い油がコーティングしている」のと同じ状態に!

つやが出て、引っかかりにくく、手触りも良くなります。

 

ごく小さな引っかかり(摩擦)が起こりにくくなれば、

静電気が起きずに済みそうですね!

 

しかも外側からマイナスの粒を受け取ってしまっても

(例:ドアノブで「ビリッ!」)、

髪の表面でマイナスの粒がとどまらず、

髪の表面にある第4級アンモニウム塩の陽イオンの部分

(プラスの粒)とくっついて消えてしまいます。

静電気が発生しにくい、静電気を受け取ってしまってもすぐ消える…

これが第4級アンモニウム塩の静電気防止作用です。

 

そんなわけで…リンスやコンデショナー

(またはリンスのいらないシャンプー等)には

第4級アンモニウム塩(陽イオン界面活性剤)が

静電気防止剤(もしくは帯電防止剤)として入っています。

 

でも、ここで注意してほしいことが!

第4級アンモニウムイオンは、界面活性剤でした。

その働きは髪や繊維にとっての「帯電防止」だけではなく、

「消毒剤」でもあります。

例えば手指の消毒に使われる塩化ベンザルコニウム

(商品名オスバン)は、第4級アンモニウム塩です。

「消毒」というのは程度の違いはあっても、

生物の細胞

(少なくともタンパク質)を壊す力があるということ。

ヒトの皮膚や粘膜の細胞にだって炎症を起こし

(「赤くなった!」「痛くなった!」等)、

場合によってはアレルギー反応にすらつながってしまいます。

 

「リンスやコンデショナーは髪にいいから、

あまり洗い流したくない…」なんて考えてはいけませんよ。

「これは洗い流さなくても大丈夫です」と書いてあるものは別ですが、

原則としてシャンプーも、リンスもコンデショナーも、

使った後はしっかりと洗い流してください。

髪や皮膚にとって、これらは「異物!」であることをお忘れなく!