10 核酸・遺伝子のおはなし(4)

塩基の少し詳しいおはなし。

塩基は手をつなぐ相手が決まっていましたね。

アデニンはチミン(RNAならアデニンとウラシル)、

グアニンはシトシンとしか手をつなぎません

これは「伸ばす手の本数が同じもの同士が手をつなぐ」から。

結果的に「異なる塩基骨格どうしが手をつなぐ」ことになっています。

 

『塩基骨格』という言葉が出てきました。

塩基骨格というのは、字の通り塩基の土台になるもの。

プリン環とピリミジン環があります。

細かい構造は気にしなくていいです。

プリン環は五角形1個と六角形1個がくっついた形、

ピリミジン環は糖とはちょっと違う六角形…これで十分。

プリン環からできているものがアデニン、グアニン

ピリミジン環からできているものがとチミン、ウラシル、シトシンです。

 

 

同じ骨格を持っていても、

微妙な形の違いによって伸ばせる手の本数が違います。

アデニンは2本、グアニンは3本。

チミン(とウラシル)は2本、シトシンは3本です。

手の本数が同じものどうしが、手をつなぐ相手。

 

このプリン環をもっているものは、「プリン体」と呼ばれます。

アデニン、グアニンはプリン体です。

コーヒーの成分カフェインも、カニの甲羅の成分キサンチンも、

プリン環があるのでプリン体ですよ。

プリン体は、原則としてあまり体から排出されません。

細胞分裂は体内でいつも行われていますから、

DNA・RNAのもとになる塩基(プリン体)は

『再利用してでも使いたいもの』です

だから私たちの体には「サルベージ回路(サルベージ経路)」という

核酸の再利用ルートがあります。

「2 エネルギー代謝と化学式」のところでもおはなしした通りです。

だから食べ物で入ってきたり、何らかの原因で細胞が体内で壊されたりして、

プリン体ができても本来なら新たな核酸に生まれ変わるだけです。

 

…でも、必要以上に取りすぎたらどうなるか。

細胞分裂に必要なスピードを上回ったプリン体は、捨てることになります。

このときの捨てる形は「尿酸」

「6 タンパク質代謝」で出てきましたね。

タンパク質の排出形態である尿素と名前が似ているから、

間違えてはいけないと言っていた、あの「尿酸」です。

一般的な動物では「尿酸から尿素を作る代謝ルート」が存在します。

ヒトでは残念ながらそのルートが退化してしまいました。

だから水に溶けない尿酸を、尿酸のまま体の外に出さないといけません。

仕方ないので、尿の水圧で押し流す形で対外排出です。

 

でも、ここで排出よりも生成が多いと…血液中で濃度が上がってきてしまいます。

これが「高尿酸血症」。

放っておくと、血管内で尿酸塩の結晶ができてしまいます。

風の吹いた刺激だけでも痛い!と言われる「痛風」です。

尿酸塩の結晶がすごくとがっていて痛い話もしましたね。

体外に流しだす作業には性差があります。

女性ホルモンは結構まめに尿酸を排出する手助けをしてくれますが、

男性ホルモンは尿酸排出を手伝ってくれません。

そのせいで、痛風の発症割合の9割は男性です。

特に男性の皆さんは、プリン体の多い食べものの食べ過ぎは注意ですね。

プリン体は旨味がありますので、おいしいおつまみほど要注意です。

あと、アルコールはプリン体から尿酸を作るところを促進しますよ。

お酒に「プリン体フリー」とあっても、

尿酸形成促進作用がなくなったわけではありませんからね!