6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(27)

肝腎症候群とは

肝硬変末期に合併する機能的腎不全のこと。

腎皮質の血管がけいれんし、

血行不安定と血流分布異常が起こります。

腎臓は下部消化器系のおはなしをするまでもなく

とても大事なところ。

具体的にどんなことが起こるかは、

下部消化器系のところで確認です。

 

運よく肝硬変症状の出ていない対償性肝硬変なら、

ビタミン多め、バランスのよい食事をとりつつ

規則正しい生活で進行を防げます。

非対償性肝硬変になってしまうと、

食事内容はかなり制限されます。

安静にしつつ減塩して、

タンパク質制限

(植物性タンパク中心、かつ、量制限)が必要です。

消化管出血が出たら、

外科的処置とショック対策が必要ですね。

腹水と浮腫に対しては、

ミネラルとアルブミン、腎機能の様子を見つつ

水分と食塩が制限対象になってきます。

 

あと、耐糖能異常(糖尿病レベルではないものの

正常よりも高い血糖)も合併しやすくなっています。

薄めようと体は頑張りますから、

高血圧や動脈硬化には注意が必要ですね。

体内最大の合成・分解工場が

ここまでおかしくなってしまった以上、

肝移植は考えておかねばならない選択肢です。

 

肝硬変が胆汁関係で起こることもありますよ。

「続発性胆汁性肝硬変」は、

自己抗体の存在が疑われるものの、原因は不明です。

8割近くは症状が出ないため、

肝硬変の対償性同様、規則正しい生活を心がけてくださいね。

 

肝硬変同様、

もしくは肝硬変の先にあるのが肝腫瘍です。

肝臓が出発(原発)のがんのうち、95%は肝細胞がん。

60代に多く、

ベースには慢性肝疾患があることが多いですね。

ベースになる肝疾患の7割は、HCV。

がん固有の症状はありません。

がんマーカーとしては、

AFP(α-フェトプロテイン)や

PIVKA-Ⅱ(異常な血液凝固因子)が出ます。

AFP自体は胎児期には普通に産生されるものですが、

出生後は作られないはずのタンパク質。

がん化した細胞では再度作られるようになるので、

肝がんの指標(マーカー)として使われています。

 

対策はシンプルな切除はじめ、

がんだけ塞栓させるもの(TACEやTAE)や、

がんをラジオ波で焼き切るもの(RFA)、

化学療法等があります。

ただ、残念ながら再発しやすいのが肝がん。

特にHCVがベースにある場合、

アルコールは発がん化を促進します。

最終的には肝移植が選ばれることが多いですね。