3 糖質と糖質代謝のおはなし(7)
前回の細胞の糖質代謝の復習からスタート。
「グルコース1個から、酸素とミトコンドリアがあれば36ATP」でしたね。
まず、解糖系で2ATP。
このとき出たNADHはFADH2になってから呼吸鎖に入る点は注意です。
次に、グルコース1個からピルビン酸(→アセチルCoA)は2個できます。
ここで出るNADHは2枚ですね。
アセチルCoAが回るとNADHが3枚、FADH2が1枚、GTPが1個ですから…。
グルコース1個当たりで見ると、
TCAサイクルで出るのはGTPが2個、NADHが全部で6+2=8枚、FADH2が2枚です。
呼吸鎖での商品券換金レートはNADHが3ATP、FADH2は2ATPでした。
NADHは8枚、FADH2は4枚ありますので…。
ATPは(3×8)+(2×4)=24+8=32ATPできます。
ここにGTPの2個と、解糖系の2ATPを足して、36ATPです。
この計算は、国家試験で問われることはありません。
国家試験ではもっと聞きたい問題がありますからね。
ただ、1回は糖質代謝の3段階とできるATPの量を確認しておくといいでしょう。
皆さんは、今一緒にやりましたから、もう大丈夫ですよ。
さて、問題です。
グルコースが細胞に届くためにはどうすればいいでしょう。
…簡単ですね。
食事からとって、血液で細胞まで届ければいいのです。
そこで、ここから先は人体の代謝(広い意味での代謝)のおはなし。
「食事からとって」と書きましたが。
食べ物そのままでは、私たちは体の中に糖を取り入れることはできません。
そこで必要になるのが消化酵素です。
酵素についてのおはなしは、タンパク質のところまで待ってください。
今は「結合を切り取るはさみが、酵素」でオッケーです。
糖質の結合はグリコシド結合。
私たちが吸収できる大きさになるまで、
グリコシド結合を切り取るはさみが、糖質の消化酵素です。
たくさんありますけど…「アミラーゼ」と「二糖分解酵素」から覚えてください。
アミラーゼは唾液と膵液に含まれています。
二糖体分解酵素は小腸の上皮細胞表面にあります。
唾液アミラーゼで大きな糖をオリゴ糖ぐらいまで小さくして、
膵液アミラーゼで二糖ぐらいの大きさにして。
最後に小腸で二糖体分解酵素が単糖にして…体の中に吸収です。
歯で噛み砕くのは、大きな糖を中ぐらいの糖まで細かくし、
アミラーゼが働きやすいようにしてくれているのですよ。
だから、食べ物の消化吸収には歯(による物理的分解)がとても大事!
次回は、残った糖質代謝をまとめてしまいましょう!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220227更新)