2 細胞分裂:自分が自分でいるために(3)
「塩基」の補足から始めますよ。
塩基というのは、DNAを形作るヌクレオチドの1部品。
アミノ酸(タンパク質のもと)から作られています。
ヌクレオチドの残りの2部品は糖とリン酸。
糖がデオキシリボース、塩基がATGCならDNAを作れます。
糖がリボース、塩基がAUGCだとRNAを作れます。
U(ウラシル)は、RNAのときだけに使われる塩基。
Aと手をつなぐことができます。
「塩基にTがあったらDNA、UがあったらRNA」
ここ、看護師国家試験でも出題されるところです。
しっかり覚えてしまいましょう。
一緒に「DNAは2本鎖、RNAは1本鎖」も覚えてしまってください。
「転写(DNAの一部をRNAにコピーすること)」も、
塩基のペアを合わせて情報を写し取ることです。
複製(DNAからDNAへのフルコピー)との違いは、
転写は「1部分」と「塩基がAUGC」です。
なお、ミスコピー(間違った情報の写し取り)があったら、
再度コピーを取るだけなので、お直しサービスはありません。
これらの違い、ちゃんと意識してくださいね。
ようやく暗号を解く「翻訳」のおはなしです。
RNAは「DNAの一部コピー」と説明してきましたが、
それは3種類あるRNAのうち「mRNA」についての説明です。
翻訳を進めるためには、残り2つのRNAにも手伝ってもらわないと!
リボソームの中にいる「rRNA」と、
リボソームにアミノ酸を連れてくる「tRNA」の出番です。
tRNAの連れてくるアミノ酸は、適当ではありませんよ。
mRNAに書いてある暗号(塩基3つで1つのアミノ酸を指示:コドン)に
対応する「アンチコドン」がtRNAにはあります。
そこの配列をもとにアミノ酸を探してくるのです。
この「塩基による遺伝情報をアミノ酸(タンパク質)にすること」が、
「翻訳」です。
そしてDNA上にあった設計図(遺伝情報)を、
タンパク質にする一連の流れ(転写して翻訳)が「セントラルドグマ」です。
細胞分裂時のDNAフルコピー(複製)も、
セントラルドグマに含まれますからね。
DNAの暗号について少し理解できたところで、一度確認。
DNAに必要なものは何でしたか?
ヌクレオチドの集まりがDNAでしたから、
糖と、塩基と、リン酸が必要ですね。
つまり、食べ物からこれらを入手しないと
私たちはDNAを作れない、ということになります。
食べ物からこれらを入手するためには、
「食べること」と「消化酵素」が必要なこと、分かりますよね。
…変な食事制限ダイエットが危険なこと、分かってくれますか?
消化酵素自体もタンパク質からできています。
酵素が働くためには補酵素も必要ですから、
補酵素も食べ物から取らないといけません。
「いろいろな食品を、バランスよく」
食生活の基本は、ここからです。
もちろん、酵素や補酵素の理解には
化学の知識が土台になってきます。
化学反応や触媒のおはなしは、
この重要性を理解するためにあったのですね!