6 タンパク質代謝のおはなし(1)

酵素のおはなしを忘れないうちに、

タンパク質代謝のおはなしに入りましょう。

 

まずは、タンパク質の消化吸収のおはなしから。

タンパク質アミノ酸ペプチド結合でつながってできたもの。

そのまま吸収するには大きすぎます。

だから消化酵素が必要になってきます。

たくさんのタンパク質消化酵素がありますが…

最初はペプシントリプシンから覚えましょう。

この2つ、酵素の至適pHのところで出てきましたね。

同じものを基質としながら、

至適pHが違う代表的な酵素です。

ペプシンは酸性で本気、トリプシンはアルカリ性で本気…

ここまでは、以前お話した通り。

では、この2つの活躍の場所はどこか。

それは十二指腸・小腸です。

 

ペプシンは胃で働くタンパク質消化酵素。

胃の中は胃酸のせいで酸性になっています。

ペプシンが本気で働ける環境です。

かたやトリプシンは十二指腸から小腸で働く酵素。

これまた十二指腸や小腸で出る分泌液は

アルカリ性(弱アルカリ性)になっています。

トリプシンは安心して本気を出せそうですね。

 

このように、酵素に至適pHがあるのは

酵素が働く環境で一番元気に働けるようになっている証拠なのです。

他にも酵素と至適pHの話は出てくると思いますが、

必ずペプシンとトリプシンの例は覚えてくださいね!

 

さて、酵素の特徴「至適pH」の補足が終わったところで。

落ち着いて胃の環境を見てみましょう。

 

胃は口で物理的に細かくなったタンパク質が入ってくるところです。

そして食べ物だけではなく異物(細菌などの侵入者)も入ってくるところ。

だから胃は酸を出して、

それら異物を殺す(殺菌)しています。

その環境に適応したペプシンがタンパク質を分解するのですが…

胃って、筋肉(タンパク質)でできています。

放っておくと、胃自身がペプシンで分解されてしまいます。

 

でも、私たちの胃はなくなってはいませんね。

それは胃が分解されないように各種の工夫をしているから。

「胃粘液」「前駆体」「至適pH」がキーワードです。

 

至適pHは、もう分かりますね。

胃酸のある酸性環境下で、ペプシンは一番元気!

それ以外の環境では、あまりタンパク質を分解できません。

胃から先の十二指腸や小腸では弱アルカリ性の分泌液が出ていますから、

ペプシンの本気モードは胃の中だけのようです。

 

では、本気モードのペプシンに胃はどう対抗するのか。

1つは完成形1歩手前(「前駆体」)での分泌。

胃酸に触れれば、完成形ペプシンになります。

こうしておけば、ペプシン産生細胞自体が分解される心配はありません。

残るもう1つ、胃粘液については次回おはなししますね。