2 細胞分裂:自分が自分でいるために(2)
前回名前だけ紹介した3プロセス。
簡単に内容を説明すると…。
「複製」はDNAをそのままコピー(DNA量2倍!)。
「転写」はDNAの情報のうち必要なところをRNAにコピー。
「翻訳」はRNAの情報をもとにタンパク質を作ることです。
細胞分裂に必要なのは複製だけですが…。
複製と転写は、コピーする部分と素材がちょっと違うだけ。
暗号を解いて私たちが分かる言葉(見えるもの)にするのは、
翻訳のお仕事です。
ここで、3つ全部をおはなししてしまいますよ。
複製は、DNAのフルコピーを取ること。
ここで作ったコピーがすぐに新しい細胞のDNAになりそうですが、
新しい細胞には古い(もとになった)DNAも入ります。
まず、DNAは2枚の設計図が重なって1セット。
だから「DNAは2本鎖」とも言われます。
2本のヌクレオチドの鎖がらせん状になっているため、
「2重らせん構造」とも言いますね。
新しい細胞に入るのは、
新しい設計図(DNA)1枚と、従来あった設計図(DNA)1枚。
新DNA鎖1本と旧DNA鎖1本がセットにすることを、
「半保存的複製」と言います。
大事な言葉なので、覚えてくださいね。
こんなことをする理由は、
「ミスコピーがあったところを直すため」です。
DNAは体の設計図。
コピーしたときにインク抜けやほこりがついて、
「間違ったコピー」になってしまうと…
生物は自己を保てず、正しく子孫を残すことができません。
だからDNAには「お直しサービス」があります。
DNAリガーゼとDNAポリメラーゼという酵素が、
「間違い」を正しい設計図に直してくれます。
2つのDNAをつき合わせて違いがあったとき、
「間違い」を決めるためには、「正解」が分かっている必要がありますね。
「正解」にあたるのが、従来の(古い・旧)設計図です。
だから「間違ったコピーを直す」ためには、
半保存的複製と酵素(DNAリガーゼ・ポリメラーゼ)が必要になるのです。
ちなみに、新しい設計図どうしを新しい細胞に入れることは
「保存的複製」といいます。
ヒトは、保存的複製を採用しませんよ。
理由は…正しく子孫を残すためですね。
コピーのとり方のおはなしに入ります。
コピーの基本は「ペアになる塩基を合わせる」です。
ペアになる塩基とはA(アデニン)とT(チミン)、
G(グアニン)とC(シトシン)のこと。
ペアになる(手をつなぐ)相手は決まっています。
これを「塩基が相補的関係にある」と言います。
AはT、GはCとセットになるように並べていけば、
「元の設計図とちょうど塩基が反対の図」が完成です。
先程「DNAは2枚の設計図が重なったもの(DNAは2本鎖)」といいました。
この2枚の設計図の関係は「情報が同じで塩基が反対」。
写真で言うなら、ネガとポジの関係にあたります。
「DNAのコピーを取る(複製)」とは、
塩基のペアを合わせることで情報を写し取ること。
つまり「情報が同じで塩基が反対の設計図を作ること」なのです。
塩基については、次回もう少し補足しますね。