3 臓器:大事な大事な役割分担(3)
消化器系の目的は、食べ物の栄養を体の中に入れることです。
口や胃の中に入れただけでは、まだ「体の中」ではありませんよ。
ヒトの体は、究極に単純化するとちくわのようなもの。
消化管の中は、ちくわの中央にある穴そのものです。
ちくわの中央部の穴(空気)は、「ちくわ」ではありませんよね。
だからちくわの中に取り入れる「吸収」が必要になります。
このような区別ができるからこそ、
ホルモンの「内分泌」と対比して、
消化酵素は「外分泌」と呼ばれます。
消化酵素の出る消化管は「体の外」ですからね!
改めて、食べ物の栄養を取り入れることが消化管の目的です。
そのために、小腸の上皮細胞は特殊な形をしていましたね。
でも、それだけでは不十分です。
小腸の上皮細胞に届くまでに、
「吸収しやすい大きさ」「吸収しやすい形」にしておかないといけません。
そこで必要になってくるのが、
消化酵素とそれを「助けるもの」です。
消化酵素は食べ物の栄養を細かくして、
吸収しやすい大きさにするもの。
「酵素」ですから、
タンパク質が主成分の化学反応を進める触媒でしたね。
消化酵素にはたくさんの種類があります。
代表的なものは、早く覚えてしまいましょう。
糖質の消化酵素はアミラーゼ。
タンパク質の消化酵素はペプシンとトリプシン。
脂質の消化酵素はリパーゼです。
これらは消化酵素の出る場所も頭に入れてしまいましょう。
アミラーゼはだ液と膵液。
ペプシンは胃酸で、トリプシンは膵液。
リパーゼも膵液です。
膵臓から、
三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の消化酵素が出ていますね。
膵臓の細胞が言うことを聞かずに増えだす膵臓癌が、
いかに危険な病気かイメージできると思います。
消化管外に消化酵素が漏れ出てしまう「自家消化」が始まると、
激痛待ったなしです。
また、ペプシンは胃の酸性環境下(pH1~2)でよく働き、
トリプシンは膵液・腸液が出ている
アルカリ性環境下(pH8~9)でよく働きます。
同じもの(タンパク質:基質)に働くのに、
最適環境が違うことから、
「酵素の至適環境(フルパワーで働く環境)」で問われやすいところです。
これら消化酵素のおかげで、
食べ物の栄養はだいぶ小さくなりました。
サイズ的にはこれで一安心ですが、
「吸収しやすい形」を気にする必要があるものもあります。
それが脂質です。
次回、脂質の形のおはなしから始めますね。