2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(7)

2019年5月2日

痛くて嫌われる薬の吸収方法、注射薬のおはなしです。

針を刺して薬を体内に入れるのだから

さぞや効果がすぐに出るのだろう…と思いきや。

すぐに効果が出るものから、

じわじわと効くものまでありますよ。

その秘密は、針を刺す場所にあります。

 

まず、注射薬と呼ばれるものについてのおはなし。

最初から液体なら、注射器に取るのは簡単ですね。

保存の都合上固体のときには、

水などの液体で溶かしてから使うことになります。

これらの保存容器には、

使いきりのアンプルと、

複数回使用可能なバイアルがあります。

 

アンプルはガラスでできた小さな容器。

上の部分にたまった液体(薬)を使いきるために、

使う前に軽く左右に振って下へと液体をまとめます。

それから上部を折り取って、

中の液体を注射器で吸い取って使います。

「ガラス」を「折り取る」のですから、

破片を混ぜないように、かつ、怪我をしないように注意ですよ。

 

バイアルの中に入っているのは固体になった薬。

お湯で戻すフリーズドライ食品の状態です。

この状態だと長期保存できますが、

いきなり栓を開けたら中の薬が飛んでいってしまいます。

だから、使うときにはまず水で溶かしましょう。

蓋はゴムになっている部分がありますので、

そこに水を入れた注射器の針を刺します。

中に水を押し込んで、よく溶かして、

そのまま中の液体を吸いだせばオーケーです。

しかも蓋が閉まったままなので

(ゴムに空いた穴からは液漏れしないように出来ています)、

1回で中身を使いきれなくても安全です。

 

ガラスと怪我の両方におびえなくて済むだけでも

バイアルを多用したくなりますが…。

「水に溶けるものであること」と

「感染対策」の問題をクリアーしないといけません。

 

水に溶ける(水溶性の)ものしか

バイアルに入れておくことはできません。

脂溶性のお薬なら、

アンプルに液体のまま入れておくことになります。

 

感染対策の問題は、

薬理学と微生物学の重なり合うところです。

感染防止の第一歩は、皮膚による物理防壁。

注射は、体の中に直接何かを入れるもの。

物理防壁を無条件突破させてしまっているのです。

だから注射液の中に細菌はじめ病原体がいたら、

いきなり「感染!」が起こる可能性が高くなります。

薬を必要としている以上、

何か体に不具合(変!)があるのが普通です。

そんなときに病原体が入り込んできたら、

弱り目に祟り目そのものです。

 

だから、感染予防・清潔管理が大事になってくるのです。

先程バイアルの中に入れるものを「水」といいましたが、

本当は「滅菌済みの水(などの液体)」が必要です。

バイアルのゴム部分に病原体がついていたら

注射器の針で刺したときに、

そこから中に入り込んでしまいますね。

だからそこも針で刺す直前に消毒しないといけません。

 

ここに関係してくる

「消毒(・殺菌・滅菌)」や「希釈(薄める)」のおはなしは、

看護師国家試験の計算問題でおなじみです。

計算問題についてここで始めるわけにもいきませんので、

「数字なんかこわくない!」で

早いうちに慣れてしまってくださいね。