4 神経系と内分泌系:守るためには指揮命令(8)
交感神経系は活動モード担当でした。
だから、日中の活動時間帯が優位。
副交感神経系はリラックスモード担当でしたから、
睡眠時間中に優位になればいいですね。
この優位スイッチの切り替えがうまくいかないと、
夜に眠れず昼に眠い…という困った状態に。
交感神経系と副交感神経系はすべて反対か。
そんなことはありません。
例えば通るルート。
交感神経系は脊髄から出て、すぐに交感神経幹に入ります。
そこから行先ごとに神経節に入って、
それぞれの担当器官へと向かっていきます。
副交感神経系は脊髄を出たら、いきなり神経節。
そこからすぐに担当器官に向かいます。
「交感神経系は交感神経幹に入り、副交感神経系は入らない」
これが大きな違いですね。
副交感神経系は担当器官の近くから出ているので、
中継地点不要なんだ、と思ってください。
お次に神経伝達物質について。
交感神経系と副交感神経系は、
途中まで同じ神経伝達物質(アセチルコリン)を使っています。
前回名前の出た「モノアミン」の一族です。
交感神経系がアセチルコリンを使うのは神経節まで。
そこから先はアドレナリンやノルアドレナリンに交代です。
副交感神経系では最後までアセチルコリンを使います。
同じものを使うのに、
真逆の働きを担当するのは変な感じですか?
情報の伝わり方は、受け止め方によって変わります。
例えば、交感神経系の受容体にはα1、β1、β2があります。
交感神経系は、活動モード。
β1がアドレナリンを受け止めると、
心臓機能が亢進(早くしっかり動く)。
β2がアドレナリンを受け止めると、
気管支と血管が拡張します。
空気の通り道を広げて、酸素を十分に肺胞から取り込めるように。
酸素を取り入れた血液を、早く全身細胞に届けるために。
でも…血管は広がりすぎると血圧が下がり、
逆に全身に十分な血液が届かなくなってしまいます。
そこでα1受容体。
α1がアドレナリンを受け止めると、血管を収縮させます。
適度に血管を収縮させることで、
ちゃんと活動に適した状態を維持してくれるのです。
副交感神経系の受容体にもたくさん種類がありますが、
ムスカリン性アセチルコリン受容体がメインになります。
受容体にはまり込むものは1対1対応ではありません。
ムスカリン性アセチルコリン受容体は、
ムスカリンもアセチルコリンもはまることができます。
どちらがはまっても副交感神経系の受容体でしたから
リラックスモード突入ですね。
以上、すごく簡単に自律神経についておはなししました。
脳による意識的な働きについては、
解剖生理学等で勉強してくださいね。
次回からは水分、ミネラルのおはなしに入りましょう。
細胞の体外環境を保つために、避けて通れないところです。
神経細胞内の情報伝達に使われる「電気の作り方」も
ミネラルについて勉強すると分かるようになりますよ。