4 体温のおはなし(1)血液・免疫(2)
【イントロダクション(血液と免疫)】
血液と免疫のおはなしスタート。
血液は血球成分(有形成分)の赤血球・白血球・血小板と、
血漿成分(無形成分)からできています。
血球成分より血漿成分のほうが多いこと、
思い出しましたか?
ここでは白血球・血小板と、
血漿タンパク質のグロブリンのおはなしをします。
赤血球については「呼吸数」のところで、
血漿の残りの成分については
下部消化器系(血漿タンパク質:アルブミン)と
下部消化器系・電解質異常(ミネラル)でおはなししますね。
1 血小板の異常
働きが「止血」とシンプルで分かりやすい血小板。
血液1㎕あたり20~40万個あるのが正常です。
止血のためには血液凝固因子、カルシウム、ビタミンKも必要でした。
血液凝固因子が決まった順に組みあがると、
フィブリノーゲンを経てフィブリンができます。
フィブリンが血小板をからめとったものが血栓(かさぶた)。
これで血管壁の傷をふさぎ、血液の流出(出血)を防ぎます。
ちゃんと血管壁が治ったら、血栓はお役目終了。
いらなくなった血栓は
プラスミンという酵素で溶かします(線溶)。
止血がおかしくなってしまう病気の代表が
血友病と播種性血管内凝固症候群(DIC)です。
(1)血友病と播種性血管内凝固症候群
血友病はX染色体上に記録されている
血液凝固因子情報の一部が変になったために、
血が止まりにくくなってしまったもの。
血液凝固因子8番欠けは血友病A、
血液凝固因子9番欠けは血友病Bです。
大事なので、覚えてしまってくださいね。
軽度なら、止まりにくい口腔内出血や、血尿で済みます。
中~重度では、関節・筋肉はじめ深部出血が多発し。
しかも出血が止まりにくい困った状態になります。
欠けてしまった血液凝固因子(自己注射をはじめとする)
補充療法が必要。
出血の可能性を考えると、
残念ながら運動・スポーツは制限する必要がありそうですね。
播種性血管内凝固症候群(DIC)は、
血管内が血栓だらけかつ
血が止まりにくくなるという凝固止血障害です。
始まりは多様なきっかけから。
いかにも嫌な予感がする悪性腫瘍や膠原病だけでなく、
手術や火傷を含む外傷、敗血症を起こすような重度感染…
妊娠さえも、きっかけの1つになりえます。
これらのせいで血管壁に傷がないにもかかわらず、
なぜか血栓(血液凝固)モードが始まってしまいます。
「血栓が細い血管に詰まるとヤバい!」ということは、
今まででおはなししてきた通り。
だから体の中は線溶を活性化して、
かさぶたをどんどん溶かしていきます。
不要な血栓で血小板は消費され…
止まってほしいところで血が止まらなくなります。
ようやくかさぶたができても、すぐに線溶!
その結果出てくるのが、各所の出血ですね。
皮膚なら紫斑、粘膜なら下血・性器出血。
他にも血尿、脳出血、血腫などなど。
もっとひどくなると
腎不全、意識障害、呼吸困難のショック状態へ!
主に抗凝固剤のヘパリンが使われますが、
場合によっては抗線溶薬(トラネキサム)等も使うことがあります。
緊急時には、血小板輸血も必要になりそうです。
止血がおかしくなる病気は、
なにかと腎臓に悪影響が出やすいもの。
次は溶血性尿毒症症候群と、
紫斑病についておはなししましょう。