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2 刺さった!刺された!(刺傷)

ある種、切り傷と似ている点もありますが、

刺し傷(刺傷)は一応別の区分です。

血が出ることもあるのは、切り傷と似ている点。

浅いところまでしか刺さっていないなら、

血が出ない点も同じですね。

でも、刺し傷は見た目より深いことが特徴。

奥にあるところまで感染や障害が起こっていることを意識です!

 

多いのは「棘(とげ)が刺さった!」や

「くぎを踏んだ!」だと思います。

見えるところの刺し傷の対処方法は、

原則的に切り傷と同じ。

洗って、少し周りを押して血で侵入者を追い出して。

刺さったものが残っていないなら、

きれいなガーゼ等で覆って、保護でオーケーです。

傷が翌日になっても痛い、赤く腫れてきたなんてときには、

病院で消毒をしてもらいましょう。

 

刺さったものがとれないときには、

無理して取ろうとしない方が無難です。

「毛抜きで引っ張ればいけそうだ!」ぐらいの棘ならいいのですが、

それ以上は組織の奥が傷つく危険性が高まります。

皮膚・粘膜を通り越して、

筋肉に細菌感染が起こると大変です。

とりあえず洗って、

周りを押して血と一緒に押し出せる侵入者は押し出して、

ガーゼ等で保護しつつ押し込まないように注意して病院へ。

 

特に刺し傷で注意するのは魚の骨と古い釘です。

古い釘には、破傷風菌がいる可能性があります。

「破傷風?

そんなの予防接種してるから大丈夫だよ」ではありません。

予防接種しないといけないくらい、危ない菌なのです。

破傷風はしびれからけいれん、高熱を起こして

生命の危険まで起こします。

破傷風菌の毒素は神経毒かつ溶血毒。

「溶血」の2文字だけを見ても、

赤血球の膜がはじけてしまう危険な状態がイメージできますよね。

https://5948chiri.com/bioc-12-1/

破傷風菌の作る毒素に対しては、

専用の抗体を注射する必要があります。

一刻も早く注射する必要がありますので、

「古い釘」や「刺したあと傷口を土を触った」可能性があるときには

即病院です。

 

魚の骨は「見えないところ」の刺し傷。

そもそも、刺さったものを抜こうと努力してはいけないところです。

病院で診てもらえば、

残っている部分はちゃんと取ってもらえますので、

痛みを我慢して病院へ。

つばを飲む、うがいをする…ならばしてもかまいませんが。

骨を押し込むようなことはしないでくださいね。

「魚の骨がささったらご飯を丸のみ」は、

丸のみされたご飯(固形物)で、

刺さった骨を奥へと押し込む行動そのものです。

咽頭や食道の(粘膜の)奥にあるのは、

消化器系を動かすための平滑筋や血管・神経でしたね。

そこから感染が起こると、

腫れて痛いだけでなく、手術が必要になることもありますよ!