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6 身体防御・免疫:侵入者なんて許さない(2)

前回おはなししたのは物理的防御。

「化学的」にも防御態勢がありますよ。

鼻水やだ液、胃液には

異物を分解する酵素が含まれています。

多少の異物なら、体内に入っても壊してしまえます。

さらに胃の中は強酸性。

生き残れる異物はかなり限られてきます。

それでも残った異物には、「免疫」の出番です。

 

白血球は、免疫担当の細胞。

前回、血液概論のところで簡単に紹介しましたね。

白血球は1種類ではありません。

たくさんの種類がありますが、

ここでは好中球、マクロファージ、リンパ球を理解してください。

 

好中球とマクロファージ(単球とも呼ばれる)は、

侵入異物を食べる実働部隊

異物を食べて分解することを「貪食」といいます。

この分解は細胞内小器官のリソソームの働き

取り込んだ異物は、

リソソームの酵素で壊されてしまいます。

さらにマクロファージは

分解した異物の特徴的な部分(抗原)を

自分の外に出すことができます。

「こんな奴が入ってきたよ!」と示すことを

「抗原提示」と呼びますよ。

 

 

リンパ球は指揮命令部隊。

マクロファージの抗原提示を受け取り、

他の細胞に命令するのがTリンパ球。

抗体と呼ばれるガードマンを作るのがBリンパ球です。

抗体については、少し後で。

Tリンパ球は胸腺(Thymus)で、

Bリンパ球は骨髄(Bone Marrow)で成熟します。

リンパ球の名前と成熟場所の組み合わせはよく聞かれるので、

しっかり覚えてしまいましょう。

Tリンパ球はマクロファージからの抗原情報をもとに

異物に侵入されてしまった細胞を壊すTh1と、

Bリンパ球に抗原情報を伝えるTh2がいます。

Th1が主に働く免疫を「細胞性免疫」、

Bリンパ球と抗体が主に働く免疫を「液性免疫」と呼びますよ。

 

抗体というのは、

抗原にくっついて「これが異物ですよー」と示すマーカーのようなもの。

抗原抗体反応というのは、

侵入者(異物)をガードマン(抗体)が取り押さえている状態です。

こうしておけば、実働部隊が食べて処理しやすくなりますね。

抗体の材料は血漿タンパク質のグロブリン。

同じ血漿タンパク質でも、

アルブミンは血液の浸透圧を保つ担当です。

食事を制限するダイエットだと、

体重が減っても体が何だかだぶついている気がしませんか?

それは血液中のアルブミンが減ったせいで、

細胞・組織の周囲に水がたまる「むくみ」のせいかもしれません。

 

抗体は5種類あります。

次回、それぞれについて説明しますね。