8 ヒトを取り巻く環境(2):バイオーム(1)
今回からは、動物も含めた生物の集まり
「バイオーム(生物群系)」のおはなしです。
生息する植物が違うと、生息する動物も違います。
いかんせん目には見えませんが、
生息する微生物も変わってきますよ。
バイオームは降水量と気温によって10種類に分けられます。
「10種類?!」と身構える必要はありません。
植生は「荒原・草原・森林」の3区分でした。
荒原にあたる部分のうち、
水分が少なすぎて草も生えにくいところが「砂漠」。
水分はあっても、
気温が低すぎて草が生えにくいところが「ツンドラ」です。
草原にあたる部分で、温度が高いと「サバンナ」。
気温がそこまで高くないと「ステップ」になります。
ここまでで、4種類のバイオームが入るところが分かりました。
残り6種類は森林をもっと細かく分けたものです。
しかもほぼ全部(1種類は難しいかもしれませんが)、
日本で目にすることのできるバイオームです。
だから、イメージをつかむことは意外と簡単なはず。
「バイオームは植生をもっとよく(細かく)見たもの」
とさえ分かってしまえば、
数に警戒する必要はありませんからね。
まずは簡単な荒原グループと草原グループを見ていきましょう。
荒原のうち、気温が低くて植物が生育しにくいのがツンドラ。
地下に永久凍土(1年中凍っている土の層)があるところです。
「北極海に面しているところ」をイメージしてください。
北極は「氷」ですから、下に陸地のあるツンドラとは違いますよ。
南極は「(下に陸地のある)大陸」ですが、
氷の層が厚すぎてツンドラとは呼べませんね。
気温が低いということは、微生物が活動できず、
枯れた植物を分解できません。
そもそも植物すらほとんどありませんから、
落葉層も腐植層もごくわずかになります。
つまり「土壌に栄養が乏しい」ということです。
だから生きていけるのはコケ類や地衣類くらい。
「(乾性遷移の)一次遷移直後のまま進まない」ところを
思い出せるといいですね。
荒原のうち、水分が少なくて植物が生育しにくいのが砂漠。
水分を体の中に蓄えるサボテン(多肉植物)等なら、
なんとか生きていけるところです。
注意しておきたいのが、砂漠の位置。
赤道直下ではありませんよ。
南北回帰線(緯度23度26分)の周囲が砂漠エリアです。
日本の夏至に、北緯23度26分では太陽が垂直に差し込みます。
エジプト辺りがイメージしやすいですかね。
日本の冬至には、南緯23度26分で太陽が垂直に差し込みます。
マダガスカルやオーストラリア(大陸の中央部)あたりです。
世界地図や地球儀で大体の位置をつかんでください。
そんな砂漠の周囲に、
草原グループのサバンナとステップがありますからね。