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2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(5)

2022年11月8日

錠剤…といっても、目的に合わせていろいろありますよ。

 

一番単純なのが、

薬に形を整えるためのデンプン等を加えただけの裸錠(素錠)。

ただ、これではひどく口当たりの悪い(苦い!)薬が

できることがあります。

それはよろしくないので。

裸錠の表面をフィルムで覆ったものがフィルムコート錠。

これなら苦い薬も一安心。

飲みやすさという点でもう一歩進んだものが糖衣錠。

フィルムではなく糖衣(砂糖)で覆ってありますので、

口に入れると甘味を感じます。

子供にとって、とても飲みやすくなりましたね。

ただ、覆っている糖衣がなくなると、

急に本来の薬の味(苦味等)が出てきます。

いくら口当たりがいいとは言っても、

すぐに飲み込まないとダメそうですよ。

 

裸錠の表面を腸で溶けるセルロース等で覆ったものが腸溶錠。

胃の酸に弱く、

裸錠では小腸に到着する前に分解されてしまう薬も、

腸溶錠にしてしまえば安心ですね。

 

ここまでは、薬の表面に注目してみました。

せっかくです、

錠剤の内側も見ていきましょう。

 

錠剤の内側に工夫をする理由、

それは「ゆっくり長期間効かせる」ためです。

飲みやすい錠剤と言えども、

「毎食後3回」よりは「1日1回」の方が楽ですよね。

単純に3倍の量の薬を一度に体の中に入れたのでは、

体の中の薬の量が多すぎて、

体にとって「毒!」になってしまうかもしれません。

だから、

徐々に薬が出ていく薬(徐放剤)が必要になるのです。

 

単純に溶ける速度を変えて(混ぜるものの比率を変えて)

1つの錠剤にしたもの(スパスタブタイプ)。

早く溶ける部分で

遅く溶ける部分をくるんだもの(ロンタブタイプ)。

遅く溶ける部分の表面を腸で溶ける膜でくるんで、

さらに早く溶ける部分で包んだもの(レペタブタイプ)。

他にもベース(基盤)になる部分に小さな薬を埋め込み、

消化管内で徐々に溶けだすようにしたものもあります

(グラデュメットタイプやマトリックスタイプ)。

 

その薬の特徴や効かせ方によって多くのタイプがありますが、

共通するのは「薬を飲む回数を減らす」ことです。

 

もちろん、

前回おはなししたカプセルにも徐放型のものはありますよ。

一番外側のカプセルはそのまま。

中に入れる薬の「粒」にちょっと工夫を。

胃で溶ける粒と

腸で溶ける粒の2種類を入れるもの(顆粒型カプセル)。

もっと細かく薬の表面を加工して、

溶ける順序を付けたもの(スパンスル型カプセル)。

粒の表面をセルロース等で覆い、

徐々に溶けていくようにしたもの

(拡散徐放型カプセル)などです。

 

次回、錠剤の注意点についておはなししますね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221108更新)