7 反応速度・触媒:体の中の化学反応(2)
体内の化学反応促進役の酵素の、主成分はタンパク質です。
タンパク質以外の補酵素も必要になること等は、
他の科目で勉強してくださいね。
タンパク質の働きは、その立体構造によって決まります。
タンパク質の立体構造は、高温(大体65℃以上)で変わってしまいます。
当然、働きも変わってきますね。
化学の世界の「反応を進めるには熱く!」は、
酵素には当てはまりません。
熱くしなくとも、
酵素とATPのおかげで体内反応は進んでいきますよ!
前回、触媒の例で過酸化水素水と二酸化マンガンの例を出しました。
レバー(肝臓)を過酸化水素水の中にいれても、激しく泡が出ます。
これはレバー(肝臓)の中に含まれるカタラーゼという酵素が
あの反応を促進しているからです。
…「濃く」はどこへ?行方不明?
ヒトの体の中は一定の状態に保たなければならないものがたくさんありました。
pHも、浸透圧も、体温も。
ヒトの体の中にあるものの多くは
「濃すぎもせず、薄すぎもせず」が一番いい状態。
「反応を進めたいから、濃くしよう!」とはできません。
ATPのもとになるグルコースでさえ、
体内濃度が濃すぎては病気の原因になってしまいます。
だから、ヒトの体の中の反応では「濃く」が抜けてしまうのです。
ここまでは理解しやすいように、
化学反応のうち酸化反応に限定したおはなしでした。
でも、酸化反応だけが化学反応ではありません。
多種多様な化学反応のうち、
ヒト体内で起こるものを簡単に紹介しますね。
「還元反応」というのは、酸素と何かがくっついたときに
そこから酸素を取り去る反応です。
くっつける「酸化」と取り去る「還元」は、
セットで出てくることが多いですね。
「転移反応」というのは、ある部分を他のものに移し替えるもの。
移し替える部分によって
「アミノ基転移反応」とか「リン酸転移反応」と名前が変わります。
「加水分解反応」は、水を加えて(加水)分解する反応のこと。
何を分解するかによって、これまた名前が変わります。
ここでは
「糖の間の結合(グリコシド結合)や
タンパク質の間の結合(ペプチド結合)が加水分解の対象!」と
分かってくれればオーケーです。
・・・具体例がないと分かりにくいですね。
酸化と還元は各種代謝(ATPを作る)酵素に多いですね。
転移のうちアミノ基転移酵素の例は
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)と
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)。
「アミノトランス」が「アミノ基転移」の意味ですね。
どちらも、逸脱酵素の代表格です。
次回は、逸脱酵素についておはなししますね。