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2 刺さった!刺された!(刺傷):虫刺され

もしかしたら前回よりも身近なものが「虫刺され」。

これだって、虫の尖った部分が刺さる「刺し傷」です。

体の中に入る可能性のあるものが変わってきますね。

虫の「体液」に対する反応に目を向けていきましょう。

 

まずは身近な蚊による虫刺され。

赤く腫れてかゆくなるのは、

蚊のだ液に対して免疫反応(炎症反応)が起きたせい。

蚊のだ液の中には血液を固まりにしない成分が含まれています。

これを入れないと蚊の吸血管の中で血が固まってしまい、

蚊が生きていけないからです。

蚊のだ液にはいろいろな病原体がいることはご存知ですね。

代表どころはマラリア。

それらについては各種微生物論等で勉強してくださいね。

とかく、刺し傷自体は小さくとも、

かゆみをはじめとするいろいろな症状が出てきます。

かゆみにまかせて掻くと、炎症が悪化します。

炎症を抑えるには、冷やして安静に。

どうしてもだめなら、

リドカイン(局所麻酔)入りのかゆみ止めで

刺されたところを麻痺させてしまいましょう。

 

ブヨ(ブユ、ブトとも)は

蚊よりもひどいアレルギー反応を起こします。

体の中で起こっていることは一緒。

ただ、すぐにかゆみが出ず、数時間後に始まりますね。

そのあとはひどいかゆみと腫れ、赤みと熱が出てきます。

刺されたところを水洗いして、

周囲を押して血と一緒に侵入物(だ液)を押し出します。

虫刺されの薬があるなら、

早めにつかったほうが掻かずに済みますね。

腫れがかなり大きいときには病院へ。

場合によっては半年以上かゆみが残ることもあります。

予防を含め、早めの対処を心がけてください。

 

怖いのはハチのアナフィラキシーショックですね。

ハチは「生きるために血を吸う」のではありません。

あくまで「(種類と場合によっては刺し違えてでも)

相手を撃退するため(の毒を)刺す」生き物です。

だからハチの刺し傷は、

生命に直結しうると思っておいてください。

毒がなくても、アナフィラキシーショックの危険です。

 

アナフィラキシーショックというのは、

免疫の働きを最大限に活かそうとした結果、

血圧低下等から生命機能を保持できなくなるもの。

一番怖いのは、

気道浮腫を起こして窒息してしまうことです。

そんな事態を避けるためにも、

ハチの体液に対して二次応答が起こる

「2回目以降の蜂刺され」は要注意ですよ!

 

もし、2回目以降の蜂刺されが起こったら。

息苦しい、のどがぞわぞわする等の症状が出たらすぐに

アドレナリン注射です。

医療職でなくとも打てるような、

子供でも太ももに打てる注射です。

アドレナリンは、交感神経担当の副腎髄質ホルモン。

興奮モードにすることで、

気管を広げて、呼吸できるようにしてくれるのです。

 

もちろん、毒を持っているハチにはさらに注意。

ハチ毒はホスホリパーゼを含んでいますので、

炎症物質がたくさん作られてきます。

刺されたところが激しく痛むのは、そのためですね。