5 熱い!冷たい!(やけどと凍傷)(3):一酸化炭素中毒
…これを応急手当で紹介していいのか悩みますが、
少なくともやけどや凍傷と共通するところがあるので。
一酸化炭素中毒のおはなしです。
大元にあるのは、酸素の運搬のしくみです。
酸素を運搬してくれるのは赤血球。
赤血球の中にある、
ヘモグロビンが酸素とゆるーくくっついてくれる…でしたね。
そんなヘモグロビンを大好きなのが、
一酸化炭素(CO)です。
「一度くっついたらもう離さない!」
…もうヘモグロビンは酸素とくっつくことができません。
赤血球が酸素を運搬できなくなってしまうのです。
https://5948chiri.com/bioc-12-9/
一酸化炭素は「不完全燃焼」で出来てきます。
「燃えるものに対して、酸素が足りないよ!」ということです。
寒いから、窓を開けずに暖房器具を付けていると…
あっという間に不完全燃焼に適した状態の出来上がりです。
一酸化炭素に、匂いも色もありません。
だから静かに静かに体内が酸素不足になっていきます。
まず出てくるのは、頭痛・めまい・あくび。
ここで気付けば、まだ間に合います。
すぐに窓を開け、換気です。
「寒いから…」「寝不足かな…」とスルーすると、
意識はあっても体が動かない状態になってきます。
これ、もう1人ではどうにもできない状態です。
他の人が助けに来てくれることを祈るのみ。
最終的には、中枢の細胞もおかしくなって
呼吸が止まってしまいます。
しかも、運よく助けてもらっても、
後遺症が脳に残る(聴覚障害や中枢障害)可能性があります。
だから「一定時間ごとに寒くても換気」が必要なのです。
換気をするとき、
1つの窓を開けるだけではダメですよ。
空気が流れるように2つ以上、
出来れば部屋(や家)の対角線にあたる部分の窓を開けてください。
「寒い空気が流れ込んできた!」は、
「酸素が多い空気が入り込んできた!」と同じことです。
この一酸化炭素中毒の怖さから、
電気使用の暖房器具が広く使われるようになりましたが…
今度は低温やけどが怖いことは、
前回おはなしした通りですね。
家や部屋全体を電気で温めようとするとどうしても
「お高く」つくことになります。
でも、やけどや一酸化炭素中毒になるよりははるかに安いはず。
次回は「冷たい!」の結果細胞が障害された、
凍傷のおはなしです。